新APU「Richland」の勉強会に行って来ました。というかA10-6800Kを触った感想【#AMD勉強会】
AMDは、6月5日、デスクトップ向け新APU「Richland」を発表しました。
それに関連して、先週末、丸の内トラストタワーの AMD さんで新APU「Richland」の勉強会が開催されましたので、その内容をレポートしたいと思います。
※2014/5/30 気になる所があったので文章ブラッシュアップ
会場は丸の内トラストタワー10Fの日本AMDさん。
10F の入り口には分かりやすい看板が。ココがAMDさんですね。
15分前の到着でしたが、すでに半分以上の席が埋まっていました。
実は、前回まで応募→抽選制だったのが、今回は招待制。お声を掛けていただき光栄です。人数は20名位だったと思います。
机の上を見ると、なんと、お土産の新CPU「A10-6800K」 とASUSのマザーボード「F2A85-M PRO」が。AMDさん太っ腹。でも書く所は書かせていただきますね。
他にも、刷新された APU の新ブランドロゴが印刷された特製クリアファイルと、お弁当、お茶が用意されていました。
それにしてもお弁当の豪華なこと。仕事帰りの皆さんには嬉しかったんじゃないでしょうか。ごちそうさまでした。
実は、勉強会の直前まで秋葉原を徘徊してまして、Twitter に流した所を某Amazonの悪魔の中の人「みやび氏」に捕捉されました。聞くと、みやび氏も同じ勉強会に来るとの事。だったんですが、電車が事故で遅れ、タクシーまで使ったのにまさかの遅刻(笑)
なぜか僕の隣しか席が空いていなかったので、前回の勉強会に引き続き、また、みやび氏と隣の席になりました。一体どういう巡り合わせなんでしょうか(笑)
というわけで、勉強会に突入です。
ほんで「APU」ってなんなの?
えーと、その前にまずは「APU」ってナニ?という所のおさらいから。
乱暴に言っちゃえば、「APU」=「CPU+GPU」というイメージ、です。
が、タダの「絵が出るCPU」には留まらず、「並列処理が得意な GPU と、シリアルな処理が得意な CPU を同一チップ上に配置する事で、適材適所の高速処理を実現する」というのが、AMD さんが言う所の APU の価値。という所でもあります。
でもまぁ、それも一理あって、近年は CPU より GPU の処理能力の伸びの方が旺盛。という事実がありまして。
AMD さんの資料によると、数年前は3倍程度だったGPUとCPUの性能差が、現在ではなんと10倍以上になっているとの事。
当然、ソフト側でも、「この GPU パワーをどう活かすか」という話しが出ており、ソフト開発者の間でオープンスタンダードな GPU 向け開発環境「OpenCL」が広まりつつある。というわけですね。
AMD の「APU」は、この「OpenCL」にネイティブ対応している事も売りだそうです。
最近はご存知のとおり、他社も似たような構成が当たり前になってきているわけですが、内蔵GPU部分に絞ったパフォーマンスで言えば、もともとグラフィックチップを扱っていた旧 ATi を買収した経緯がある AMD さんに強みがある。と言って良い状況です。
僕が思う新APU「Richland」の特徴とか感想
勉強会の内容は色々あるんですが、いきなり結論めいた事を書いてしまいましょう。
今回発表された 「Richland」について、実際に A10-6800K を使った感想と合わせてまとめると、ユーザー目線で重要なのは以下の5点と思います。
- DDR3-2133MHz メモリーに対応(A10-6800K のみ)
- Socket FM2 の継承
- Personal Cloud Entertainment は、かなり「使える」 !
→ Splashtopでリモートデスクトップ。iOS / Android タブレットから3Dゲームも出来そう - 前モデル「Trinity」比で、体感速度の違いは感じられる。ただし、DDR3-2133 メモリは必須。(クロック上昇、グラフィック性能向上)
- Display Port 1.2 対応モニタに、ケーブル1本で4K表示(60MHz)対応
あとは、A10-6700 のワットパフォーマンスが A10-6800 比で改善されている、という情報があるので、そこも意外と狙い目なのかもしれません。
また、「Richland」からサポートとなった Slashtop 向けのアクセラレーションは大変面白く、実用性もあるので、別記事として切り出しました。
「Richland」へ乗り換える価値、とメモリの関係
例えば、「Trinity」から、CPUだけ同クラスの「Richland」にアップグレードする価値はあるのか、と聞かれれば、その答えには悩むところです。
今回、パフォーマンスアップを狙うならメモリーは無視できない要素ですので、ぜひ A10-6800K を選び、メモリーも合わせて DDR-2133 にしましょう。というのが、この質問への模範解答となりそうです。
逆に、パフォーマンスの向上が目的なのに、メモリーはアップグレードせず、CPU だけ換装する。というなら、正直オススメできません。
この辺は、勉強会の中でも、AMDの方が「マシンを組む際は、ぜひとも DDR3-2133 あたりでお願いします。」と3回は言っていた気がするので、中の人としても認識がおありなのだろう、とは思います。
で、実際に、A10-5800K + DDR3-1866 → A10-6800K + DDR3-2133 に乗り換えると、AMD さんの仰る通り「Trinity」比で確かに20%程度ベンチマークのスコアが伸びる例を確認できました。
使用感としても、「メモリをDDR3-2133にした場合は」、細かい部分でパフォーマンスの向上を肌で感じられる場面はけっこうあります。
しかしその一方で、メモリを DDR3-1866 相当にしてやると、パフォーマンスアップはかなり寂しいものになる、というのもまた事実です。
このあたりをどのくらい認識して、どういう構成を買ったのか、そしてどういう構成からアップグレードしたのか、によって、「Richland」の印象はかなり変わるのではないか、という気はします。
メモリ周りで注意が必要なのは、「Richland」で DDR3-2133 メモリに「正式」対応しているのが「A10-6800K」のみ。という点です。
じゃあ、下位の A10-6700 の存在価値はどうなるの?という話しになるわけですが、こちらについては旧モデル最上位の A10-5800K 比でパフォーマンスはどっこいだけど消費電力は減っている、との情報もありますので、そういう意味付けはされているのかなぁ。という予感はします。
基本的に前モデル「Trinity」からの順当な進化、という事ですので、A8・A6から上位モデルへのアップグレードや、AMDプラットフォームで新規に組む際に、「Richland」を避ける理由は全く無いと思います。
「お値段以上、それ以上」。ただし用途に合えば
さて、新規の人に「Richland」を薦めるかどうかは、用途とご予算によるでしょう。
WEB閲覧や事務、軽いクリエイション、たまにちょっとゲームもやりたいかも、でも描画設定は落とせばいいや。という利用用途に合えば、「お値段以上、それ以上」の満足感。この辺は「Trinity」譲りで健在です。ベンチマークのスコアはともかく、あれあれどうして意外と使えちゃう。という感じ。
個人的な感覚ですが、現在の A10 の内蔵グラフィック性能って、数割のパフォーマンスの差が実用上けっこう気になる微妙なラインのような気がしてて。そういう意味では、ライトユーザーが Windows 7 / 8 で気持よく感じるのに必要十分という、なかなかに絶妙なパフォーマンスなのかも。と思ったりもします。
欲を言えばもう少し上に、ゲームやらないならもうコレ以上はいらないや。みたいなラインがあるんですが、それは各社とも、結構先の話しになるでしょう。
そういう意味では、アップグレードパスに差は出ますが、現状、下手にデスクトップ向け Haswell Core i5 で GT2 な内蔵グラフィックを使うくらいなら…という選択も、値段との絡みではありうるかもしれません。
ちなみに AMD の APU でグラフィックパフォーマンスが足らない場合は、Dual Graphics を使う手があります。組み合わせ可能なグラボには制限がありますし、性能面でも過度な期待は禁物ですが、DirectX 11対応ゲームならそれなりの手当にはなりますし、非対応ソフトでも純粋に外付けGPUの恩恵は受けられるので、ライト用途ならここでもお値段以上。という感じにはなるでしょう。
兎にも角にも、「APU」は現状、そのコストパフォーマンスが強みです。
なにせ内蔵GPUがこれだけの性能で、しかも「APU」自体が安いんですから。
最近は為替の影響もあり、DDR3-2133 などのオーバークロックメモリが高いのは残念ですが、それでも CPU、メモリ、マザーで3万円台中盤。というのは面白い選択肢です。メモリが安くなれば3万円台前半もありえますし。
Dual Graphics 対応のビデオボードは、公式には Radeon HD 6000 の世代のものという事で、今から買うとなると色々と思う所はありますが(勉強会によると、最新世代の GPU を APU に落とし込めていないから。という事でしたが)、これもまぁ6000円前後という事で、許容できるかもしれません。
AMDさんらしいなぁ…
正直、CPU 単体のベンチマークの数字は寂しいんだけど、操作感に大きく影響する内蔵グラフィックパフォーマンスのアドバンテージとか、CPU・GPU のどちらでもない部分の速度も関係してるんでしょうか、とにかく、なんでか割と普通に使えちゃうし、それでいてこのお値段。十分感。そして、自作の楽しさをまた思い出させてくれるこの感覚。
バリバリにゲームをやる場合とか、向いていない用途は確かにありますが、触ってみないと分からない良さが確かにある。という辺りが、AMDさんがブロガーを集めた理由なのかな。と思ったりもしたり。しなかったり。
それにしても、評価にあたって色々が複雑に絡み合っている様(さま)とか、切り口で評価が大きく変わりそうな所とかは、いかにもAMDさんらしいというかなんというか(微笑)
前回の「Trinity」の時もそうでしたが、個人的にこういう多面的な部分ってのが面白さを感じる所でして、今回も、A10-6800K を手にしてから、その本質が何なのか、を知るまでの過程が楽しくて仕方なく。うっかり記事を書くのが遅くなりました。下手な言い訳じゃなくて。本当に楽しかったんだ。という事は書いておきます。
さて、ふと気が付けば勉強会の内容をかなりすっ飛ばしている気がしますが、でもまぁ、ユーザー視点で大事な所と、あと入り口としてはこんな所かな。という事で。うちは基本的にライトなネタを扱ってますし。
本当はネタの宝庫で、書きたいことは山ほどあるんですが、あまり長くなってもアレなので、この記事はここで一旦締めさせていただきます。あと、振り返ってみると、全然「勉強会に行って来ました」という内容じゃなくなったので、ここで急遽タイトルに「触った感想」と後付けさせてもらいました(汗)
他にも、色々試した結果などなど、書きたい事が結構ありますので、追って記事にさせてもらいます。頂いた ASUS のマザーボードの宿題とかとかもありますしね。
最後に、APU「A10-6800K」、マザーボード「F2A85-M PRO」をご提供いただいた事と、今回、このような機会をいただいた事について、関係各位には深くお礼申し上げます。