Ingressのハマり要素と位置情報詐称と位置ゲーの限界
こんにちは。今さらですが Google の位置ゲー「Ingress」にどハマリしている管理人です。
低レベルのクセに調子に乗ってコントロールフィールドをガンガン拡張したせいか手痛い反撃を喰らい、レベルの割に実戦経験を積むハメになってしまいまして。
おかげでシステム面はもちろん、相手の心理的な面でも色々見えてきたので、スマホ位置情報ゲーの本質なんかも交えつつ、感じた事をツラツラと書いておきます。
書きたくなったんだもん。
ここでは、Ingress というゲームの詳細やゲームシステムについては説明しません。(これについてはどこかでまとめるかもしれませんが…)
要は世界を2つの陣営に分けて戦う、GPSを使った世界規模の陣取りゲームです。
ここではあくまでも、雑感だけを書いておきます。
Ingressの驚くべき「ゲームの動機付け」
他の一般的なゲームでは、「ゲームの動機付け」としてカードやバッジの収集、クエストの達成、相手との対戦などが用意されているわけですが、一般に、それらはあくまでも架空の場所が舞台であり、現実とオーバーラップする部分は少ないものです。(その架空の場所が現実と似せてある事はあるかもですが)
しかし、Ingress では現実世界がゲームのフィールドになっているため、土地・施設に執着があると、それを守るんだ!という意識が芽生えるようで、それが「これまでに無い」強力なゲームの動機付けになっているように感じます。
「これまでに無い」と聞くと、「イヤイヤ、GPSを使った位置ゲーなんてこれまでにも山ほどあったじゃないか」、と思われるかもしれません。しかし、ずいぶん前にコロプラにハマリ、数年前にはFoursquareのメイヤー獲りとバッジ unlock にハマった僕から見ても、Ingress の動機付けの強さは並外れたモノがあるように感じます。
その強さは、例えば、自分の重要ポータルが攻撃されている事が通知されると、深夜にも関わらず飛び出して戦いたくなる衝動に負けてしまう事があったほどです。
ええ。午前2~3時台に走り回りましたよ。ホントに。いい年こいて。
画面の向こうに「人」が見える!
「いつもインしてるけど、あの人って普段、何やってる人なんだろ」という話はオンラインゲームでよくある話ですが、「土地」に紐付いたゲームである Ingress では、そこに本人のリアルな位置情報が加わるため、
「あいつ、こんな時間にあそこのポータル奪いに来やがった!卑怯なヤツめ!今あそこに行ったらあいつ居るんだろ?くそぉ!レベルが低いと思って舐めやがって!あ、イヤな場所を次々に壊してやがる!次はドコに行くつもりだ!?」
という感じで、相手の場所が分かっちゃうリアル感と、「あー…土日に頑張って2人で回ったところが一瞬で…」みたいな、得も言われぬ落胆とが織り成すハーモニーが非常に特徴的なゲームと言えます。
えーと、このゲーム以外でも、相手に攻撃される系のソーシャルゲームは結構あるわけですが、現実の位置情報を使ってプレイする Ingress では、これまでの作戦が無駄になった時のがっかり感も格別でして、画面の中だけで完結するゲームとは段違いの精神的重圧を感じる事ができます。
正直、攻撃されていてこんなにゾワゾワするゲームは、僕にとって初めてかもしれません。
Ingress を本気でやっていると、憎たらしい相手も出てくるでしょう。
すると、相手のホームグラウンドがドコであるか、とか、相手が動ける時間帯や距離、生活パターンなど、実生活のかなり生々しい所を推測したくなってくるものです。本気で勝とうと思うとね。
Ingress のハマり要素には、「否が応にも相手の顔が見える、あるいは、見たくなってくる。」という部分もあるように思い、ストーカー的資質のある人が重度にハマると、なかなかに危険な素地のあるゲームと言えるかもしれません。
「Ingress」は、「人」が「現実の場所」に行くことで成り立つゲームです。
それはつまり、生身の人間が、時間や交通費、燃料代などのコストをかけてゲームを進めているわけで、それらの捻出のために何かを犠牲にしていたかもしれない。という事でもあり、画面の向こうに人を見ることの大事さ。というものはある気がします。
例えば、Ingress では、張られたコントロールフィールド内には新規リンクを張ることができない。というルールがありますが、都市部で、しかも自分のホームグラウンドで、強力かつ巨大なコントロールフィールドを作られた時に沸き起こる怒り、というか憤りは、桁外れのものです。だって何にもできなくなっちゃうんだもん。
でもそれは、逆の立場でも同じなのかもしれず。
だから、熱くなっている相手や、特定のポータルに対して並々ならぬ思い入れを持っている相手と対峙するときは、剛だけではなく、柔(やわら)を持って接する。みたいな部分も必要なんじゃないか。そんな感じもあったりして、これはなかなかに大人なゲームかもしれないなぁ。とも思ったり。
イヤ、完全に力でねじ伏せるというのも楽しいやり方の1つなのだとは思うんですけどね。ただ、その場合、その戦いを戦い切れるのか、とか、そういう要素も出てくると思うんですよ。設置したレゾネータは1日15%ずつ自然劣化していくわけで。結局は、自分の陣営にどのくらいの人を集められるか。という部分が大きいゲームなんだろうな。とは思うわけです。
ゲームの中で、自分たちの勢力の「我」を通すための戦略やクレバーなやり方はたくさんありますが、相手の怒りに火を付けない、あるいはワザと火を付けさせて裏をかく。とかとか、精神戦も含めて策略・戦略を練るのが非常に楽しいゲームと思います。
なんにせよ、このゲームの熱中度は非常に高く、普段は家に篭っているタイプの人でも、思わず表に飛び出したくなる不思議な要素を持っている。というのは噂通りです。
最強のお散歩ゲー。なんて呼ばれる事もあるようですが、確かにこのゲームをやるようになって、よく出歩くようになった気がします。痩せるといいなぁ。
rootと擬似ロケーション情報について
さて、ここはテラダスですし、ここらで少しは怪しいお話も書いておきましょうか。
実際に試したわけではありませんが、位置ゲーと聞いて真っ先に不安になるのは、やっぱり「Location Spoofer」などによる位置情報詐称ではないでしょうか。
ずいぶん前の別記事にも書いた事がありますが、
ユーザーの位置情報とは「ユーザーが自由に作り出す物」であり、それが詐称されていないという保証はなく、ユーザーとの紳士協定の範囲でしか信じてはいけないもの。
という本質は確かにあるわけです。
そういった事もあり、個人的にはこの手の位置ゲーやロケーション系アプリで、ユーザーに大きすぎるベネフィットを与えるのはあまりよろしくないよ。と、また、運営側だけでなくユーザーも、あくまでもライトなスタンスで臨む事が大切だよ。とは常々に思ってまして。つまりそこが、位置ゲーの限界でもあるわけです。
100%の確信を持ってそう言うわけではないのですが、実際に Ingress の世界を見ていると、なかなかに怪しい動きをしている人もいるような…。
Ingress に「のめり込む」にしても、位置ゲーなんて所詮はそういうもの。という部分を見透かして遊ばないと、Ingress のあまりのハマり度合いとの兼ね合いもあり、無駄に色々をすり減らしそうな予感はしなくもありません。
ちなみに、Android には開発者向け機能として「擬似ロケーション(mock location)」という機能が用意されており、割と簡単に位置情報詐称が可能です。
が、Ingress はちゃあんとこの機能がONになっていないかチェックしており、ONの場合は遊べないようになってはいるので、みんながライト感覚で位置詐称をしているわけではない。という意味で、多少の安心感はあります。
しかし、ちょっと詳しい人なら、rooted な Android を使えば「擬似ロケーション」をオンにした状態でも位置詐称する方法がある事。また、一般に root チェックをかけているアプリであっても回避方法が編み出され、イタチごっこになったケースがある事くらいはご存知でしょう。
また、Ingress のアプリをリバースコンパイルし、擬似ロケーション情報を拒否しているコードを書き換えてしまう。という強引な手法だって可能かもしれません。
これらは実際に試したわけではないので、実現性について深くはお話できませんが、この章の冒頭に申し上げたとおり、位置情報の本質的限界というものはありますので、あくまでもその限界を理解した上で程よく楽しむのが良いのではないか、とは思うわけであります。
いずれにせよ、実際の場所で人が見ていて鉢合わせする可能性もあるゲームですので、レゾネーターにゼロ距離攻撃喰らってるはずなのに、その場に人がいなかった!なんて事になると、垢BANのリスクも含め、色々面倒かと思いますので、健全に遊ぶのが良いのではないか、とは思うわけです。