au版MVNO「mineo」がiOS 8系で利用不可の衝撃とMVNOのリスク
au回線のMVNO SIM「mineo」が iOS 8.x 系で利用不可、と公式発表された件について、少し出遅れましたが、触れさせていただきます。
すでに報道されているとおり、iOS 8.0 / iOS 8.1 では「mineo」SIM が利用できない状態となっており、悪い意味で話題となっています。
mineo側の発表によれば、この問題は mineo 側で用意できる「構成プロファイル」などでは対処できず、アップル側で対処するよう要望を出す。とのことで、早い話が mineo 的には「お手上げ」状態となっているようです。
mineo はこれまで、iPhone 5s 以前の機種は iOS 8 へアップデートしないようアナウンスしてきましたが、購入時から iOS 8 が搭載されている iPhone 6 / iPhone 6 Plus については対処のしようが無いことや、また、既に iOS 8 へアップデートしてしまった場合も非常に困るということで、mineo 側の消費者への対応が注目されていました。
しかし現時点では、12ヶ月の最低利用期間内の解約時にかかる違約金9,500円(税別)について、mineo 側から救済措置は発表されていません。
そして、気になる今回の「mineo+iOS 8騒動」の原因と背景、対処ですが、事情に詳しい某大手MVNO消息筋は、当サイトの取材に以下のように述べています。
- 一般に、MVNO側はキャリアの無線区間について詳細を感知できない。mineo さん側の視点で見れば、今回の問題はかなり根が深い可能性がある
- au の MVNO ではデータ通信に3Gを使わずLTE網のみ使用しているが、今回の現象はそこに起因している可能性がある。
- iOS 7 系では利用できていたわけだから、MVNO 側で対処できなかったとしても、iOS 側でなら対処できる可能性は高い
- ウチが「mineo」さんの立場になる可能性はゼロとは言えなかった。特に iOS 系デバイスのアップデート時は同じMVNO事業者として心配している
端末メーカと密に連携するドコモ・au・ソフトバンクのようなMNOとは異なり、MVNO では端末との相性を保証しづらい、という根本的な「弱さ」を抱えているケースは少なくありません。中でも、アップルは MVNO 各社との連携が不十分な事で知られており、今回の「mineo騒動」は、そういったリスクを再認識させてくれる格好となりそうです。
総務省の通信行政絡みの思惑や、キャリアの「カケホーダイ縛り」を背景に需要が増えつつある MVNO SIM ですが、今回の話があまり大きくなるようだと、何らかの影響も出てくるかもしれません。
いずれにせよ、MVNO を利用する場合は、
- SIM+機種の相性
- 最低利用期間の短さ、または違約金の安さ
が重要であると認識する良い機会となりそうです。(そういう点で、個人的には最低利用期間が翌月末までと短い IIJmio のデータ通信SIM(音声無し) は、非常に使い勝手が良いと感じます。)
これまでも、Android の特定機種では mineo が使えない、という症状が知られており、その原因は「データ通信がLTEのみ」という mineo、および au MVNO の仕様にあると言われてきました。
今回は、iPhone という誰もが知る機種で繋がらない、しかもアップデート前は動いていたのに動かなくなる。対処の方法も無い。違約金も救済されない。という重大事例と言え、消費者視点で言えば、au 系MVNO自体が「前科1犯」を抱える結果となったと言えそうです。
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