性能・機能・品質アップの新ドライバー「Catalyst OMEGA」 #AMD勉強会
今回は、12月9日に公開された AMD の新ドライバー「Catalyst OMEGA(カタリスト オメガ)」についてです。
「Catalyst OMEGA」は、AMDのAPU・GPU向けドライバスイート「Catalyst」の特別リリースという位置付けで、20以上の新機能とパフォーマンス改善、多数のバグフィックス、そしてドライバ自体の品質改善など、かなり盛りだくさんの内容となっています。
Radeon や APU ユーザーには見逃せないリリースと言えるでしょう。
新ドライバ「Catalyst Omega」で実現される主な機能や改善はこんな感じ。
- パフォーマンスの改善
→ Radeon で最大19%の性能向上
→ AMD APU で最大29%の性能向上
→ Call of Duty で15%の改善(AMDのプロセッサ+GPU時)など
- AMD FLUID Motion Video
→ Blu-ray 品質の 24fps 動画を 60fps に補完して再生。映画や特にアニメで効果が大きい(※Aシリーズ 7x00 APU, Radeon R7/R9 )
- Freesync Technology
→ グラフィックカード・モニタ間でリフレッシュレートを可変シンクロさせるオープン規格。Freesync 対応モニタ必須(後述)。ティアリング削減に効果 - Contour Removal
→ 動画のカラーバンドを滑らかに。(※Athlon APU, Aシリーズ 7x00 APU, Radeon R7/R9 ) - Detail Enhancement
→ 動画のノイズ除去機能。フルスクリーン時に気になる動画の粗を軽減する。(※Aシリーズ 7x00 APU, Radeon Rシリーズ )
- Ultra HD Like Experience
→ Fluid Motion Video / Detail Enhancement / Adaptive Upscaling の組み合わせにより、1080p コンテンツを 4K などの Ultra HD ディスプレイでも高画質で再生。(※Radeon R7 260 以上)
- Frame Pacing Enhancements
→ CrossFire、および Dual Graphics では2つのGPUが交互にフレームを生成しているが、各GPUの処理負荷を制御することでフレーム生成時間を平準化し、スムースな3Dグラフィックスを実現(※Aシリーズ APU, Radeon)
- Virtual Super Resolution
→ 3Dゲーム画面を、最大4Kでレンダリングし1080pディスプレイに表示。スーパーサンプリングをサポートしていないゲームでもテクスチャとエッジがスムースになる。(※Radeon R9 290 / 285) - 5K対応
→ 5K×3K(5120×2880)解像度に対応。
という感じで、盛りだくさん。
多くの人にとっては、パフォーマンスの向上が注目されるところかもしれませんが、個人的には、動画の画質支援である FLUID Motion Video、とか、Freesync Technology、Frame Pacing Enhancements のあたりが気になりました。
Freesync の G-SYNC に対する優位性は?
競合「NVIDIA G-SYNC」との違いが気になる「Freesync」ですが、これについて AMD は次のような優位点があると説明しています。
- G-SYNC では追加のスケーラーチップのコストが余分に掛かるが、Freesync では現状のスケーラーを利用可能
- G-SYNC は NVIDIA のクローズドな規格だが、Freesync はオープン規格
- G-SYNC は DisplayPort のみ対応だが、Freesync は DisplayPort・DIV・HDMI に対応可能
- G-SYNC はフレームレートの下限が 30fps だが、Freesync は24fps。そして、Blu-ray コンテンツの多くは24fps。
気になる Freesync 対応ディスプレイですが、2015年にはサムソンからさっそく発売予定となっているほか、具体的な社名は挙げられないが他社も追従する見込み、とのことでした。
Freesync がオープン規格であることや、追加のスケーラーチップが不要というコスト面の有利性から、将来的には Freesync 対応ディスプレイが広まる可能性は十分ありそうです。
僕が個人的に気になった機能
別記事にするかもですが、Catalyst OMEGA の「FLUID Motion Video」は、実物を見てみると、特にまた面白さを感じる技術と思います。
24fps 映像との相性が良く、映画・アニメなどがヌルヌル動く。ということで、その手の Blu-ray などを鑑賞する人であれば、リビング用に1台PCが欲しくなる機能かもしれません。
あとは、CrossFire や Dual Graphics で効いてきそうな「Frame Pacing Enhancements」も個人的には気になっています。
趣味の世界かもですが、静音重視の外部GPU+APUで3Dパフォーマンスを稼げる。という意味で、世間でのウケはともかく、個人的には Dual Graphics の発想は嫌いじゃないんですよね。
ただ、dGPU+APU内蔵GPU、という2つのGPUで交互にフレーム生成する Dual Graphics の仕組み上、どうしてもGPU間のフレーム生成時間の違いから動きにクセが出たり、微妙にぎこちなく感じる場面、というのはこれまでありまして。
これが改善される。というならそれは興味深いところと思います。ただし、AMDさんの「Frame Pacing Enhancements」に関するスライドでは、具体的に効果があるゲームタイトル名が挙げられていたことから、ひょっとするとゲーム側での対応状況によって効果は変わってくるのかもしれません。
品質保証の改善に取り組むAMD
機能や性能アップの話しも大事ですが、今回、僕が特に気になったのは、Catalyst の品質向上への取り組み。という部分です。
具体的には、自動テストケース65%増、手動テストケース12%増といった検証網羅度のアップや品質管理体制の強化、また、ユーザーからの問題報告用フォームなど、様々なアプローチから品質向上を図っているとのことでした。
ちなみに、障害報告用のフォームは↓こちら。執筆時点では英語ページですが、日本語にも対応予定とのことです。
また、今回の「Catalyst OMEGA」では、コミュニティからフィードバックされたバグのトップ10を全て修正した上でリリースしている。との解説もありました。
このような品質改善の取り組みが Catalyst の実使用感や信頼に良い影響を与えると良いなぁ。と思います。
AMD さんのブロガー向け勉強会にはこれまで、何度も参加させていただいていますが、今回は珍しくハードウェア色の薄い勉強会と感じました。
上図のスライドもそうですし、先の品質改善をトピックとして持ってくるあたりもそうですが、そここで「ソフトウェアを重視する」というAMDの姿勢が垣間見れた勉強会だったように思います。