「おなら」のエネルギーはマグニチュード換算でM-1.5クラス
半径2メートル圏内をちょっとしたパニックに陥れる身近な恐怖。「おなら」。
音、異臭、そして時に振動とが人々の五感を容赦なく揺さぶる恐~い「おなら」ですが、そこには一体どれほどのエネルギーが秘められているのか、とっても気になって仕方がなかったので、計算してみることにしました。
そういえば、アニメ「キン肉マン」でもキン肉星の王子は「おなら」を推進剤にして空を飛びますしね。
おならにエネルギーがあるとなれば、その平和利用も模索できるかもしれないではないですか。
おなら1回あたりの容量はどのくらい?
おならのエネルギーを求めるには、まず、その量を知らなければなりません。
困ったときの Wikipedia によれば、人間の腸内ガスは24時間あたり476~1,491ml発生しているとのこと。
そして、おなら1回あたりの放出量は5~375mlの間とのこと。
おなら量の分布特性が不明ですので、単純平均を適用するのが妥当かは悩みどころですが、ここでは仮に、1日あたりの腸内ガスの平均発生容積を983.5ml、平均放出回数14回として、平均的な「おなら」1回あたりの気体容積を70.25mlと仮定しましょう。
おならの成分比率からエネルギーを算出する
ではさっそく、70.25mlの「おなら」のエネルギーを算出していきます。
典型的な「おなら」の成分比率は以下のとおりとなっています。
・窒素: 59%
・水素: 21%
・二酸化炭素: 9%
・メタン: 7%
・酸素: 3%
・匂いの素となる混合気体: 1%(硫黄成分など)
これらを理想気体と仮定し、それぞれのモル質量を算出すると以下のようになります。
・窒素: 0.001850 mol
・水素: 0.000659 mol
・二酸化炭素: 0.000282 mol
・メタン: 0.000220 mol
・酸素: 0.000094 mol
・匂いの素となる混合気体: 不明 mol
(※ファンデルワールス気体?たかが「おなら」ですし、算出する単位もマグニチュードですよ?)
そして、ここから取り出せる燃焼エネルギーは以下の通りとなります。
- 水素: 1mol 当たり 286kJ × 0.000659mol = 188.36J
- メタン: 1mol 当たり 889kJ × 0.000220mol = 195.16J
これらを合計したものが総エネルギー量ですから、1回のおならには 383.52J(ジュール) のエネルギーがあるという結論となります。
おならのエネルギーをマグニチュードに換算する
マグニチュードは本来、地震のエネルギーの大きさを表す単位ですが、せっかく怖い感じがする単位なので、ここでは敢えてこの単位に換算していきます。
マグニチュードMとエネルギー(単位はジュール)Eの関係式は以下のとおり。
- log10 E = 4.8 + 1.5 M
これをMについて解くと以下の形になります。
- M = (log10 E - 4.8)/1.5
ここに先の「おなら」のエネルギー 383.52J を当てはめるとM = –1.477 となり、今ここに、おならのマグニチュードが M-1.5 クラスであることが明らかになりました!
マグニチュードは2増えるごとにエネルギーが1,000倍になりますから、例えば M6.5 の地震であれば1,000の4乗、すなわち「おなら」の1兆倍という途方もないエネルギーが放出された事になります。
また、とても大きい「おなら」はこの約5.3倍のエネルギー量になりますから、その場合、なんとマグニチュードはM-1.0クラスにまで跳ね上がるのです。
ちなみに、マグニチュードは対数指標のため、エネルギーが小さいとマイナスの値になることもあるんですねー。
この豆知識を知っていれば、これからはうっかり「おなら」が出ちゃっても、地震とのエネルギー対比で被害の小ささを定量的にアピールできてとっても便利。やったぜ、おならの見える化だね。
参考情報:
- 発熱量 – Wikipedia
- マグニチュード - Wikipedia
- How many farts wouldit take to fuel the spacechuttle? | Yahoo Answers
検索用キーワード:おならの出力、屁