デュアルSIM端末で何ができる?Zenfone Selfieで試してみた

 2024年8月9日

Zenfone_selfie_dual_sim_1_sh

フロントカメラ1300万画素のセルフィー(自撮り)強化型スマホ「ZenFone Selfie」ですが、こいつ、ZenFone 2 や ZenFone 2 Laser の血を引いているのか3G/4G周りの通信仕様がめちゃくちゃ充実してまして。

なんと、2スロットとも 4G(LTE)に対応したデュアルSIMスロットが付いているので、今回はデュアルSIM機能を試してみたいと思います。

ちなみに ZenFone Selfie は 3G/4G の幅広い周波数に対応し、国内はもちろん、一部、海外でも使える心強い存在です。

Zenfone Selfie のSIMスロットは、背面パネルを取り外した部分にあります。

バッテリーを外すとアクセスできるスロット1と、右側にあるSIMスロット2の2スロット構成です。
Zenfone_selfie_dual_sim_15_sh

サイズはどちらも micro SIM。nano SIM は自己責任になりますが下駄を履かせるなどして使いましょう。

余談ですが、ドコモ・auのシングルSIM端末ではSIM差し替え後に強制的に再起動する機種もありますが、この機種のSIMスロット2は再起動が必要ないのも便利な点。他のSIMフリーのデュアルSIM端末も割りとそうだったので、これはそういうものなのかもしれません。

例えば Zenfone Selfie のデュアルSIM関連の設定はこんな感じ。
Zenfone_selfie_dual_sim_3_sh

APNも SIM1 / SIM2 それぞれ個別に設定してやる必要があります。
Zenfone_selfie_dual_sim_17_sh

データ通信でどちらのSIMを使うのか、は「データサービスネットワーク」から切り替えます。
Zenfone_selfie_dual_sim_4_sh

ちなみに、現在の一般的な国内向けデュアルSIM機同様、複数SIMでの同時通信はできず、また、優先SIMカードの「音声呼び出し」を設定しても音声待受とデータ通信を別SIMで同時に有効化することはできません。

ということで、色々触ったりしばらく実地で使ってみた結果として、この機種は少なくとも国内の3G/4Gエリアでは DSSS(Dual SIM/Single Standby)として動作する、ということが分かりました。

つまり、音声・データとも切り替え利用のみ可能で、1枚のSIMしか同時には使えない、国内では一般的なデュアルSIM端末っすねー。ということです。

と、ここでデュアルSIMに関するちょっと込み入った話も書いておきます。

デュアルSIM端末でも、国内で同時待受・同時通信できるケースは非常に少ない

デュアルSIMに明るくない人が引っ掛かりやすいポイントですが、現状、デュアルSIM機に2枚のSIMカードを挿しても、同時通信・同時通話待受ができる機種は、国内では非常に稀です。

細かい話になりますが、実は、一口に「デュアルSIM」対応と言っても、次の3つの方式があります。

DualSIM/Single Standby
(DSSS)
SIMは切り替え式
同時待受・同時通信は不可
DualSIM/Dual Standby
(DSDS)
2つのSIMで同時待受可
通信は1つのSIMのみ
DualSIM/Dual Active
(DSDA)
2つのSIMで同時待ち受けと同時通信可能

「シングルスタンバイ」機ではSIMの切り替え利用のみが可能ですが、同時待ち受けが必要なら「デュアルスタンバイ」対応である必要が、そして同時通信が必要なら「デュアルアクティブ」対応である必要がある。ということです。

ここで注意したいのが、デュアルスタンバイ対応機であっても2G(GSM)と3G/LTEの組み合わせしか対応しない機種が非常に多い、という点。

この場合、国内では 2G(GSM)サービスは行われていませんから、片方のSIMスロットが2G専用のデュアルスタンバイ機は国内では実質的にシングルスタンバイ機としてしか使えない、ということになります。

ちなみに、国内で3Gの同時待ち受け実績が報告されている機種としては、古い端末ですが「Coolpad W770」あたりが有名どころです。また、最近ではファーウェイの「honor 7」での成功報告を耳にしましたが、1枚はauのSIMカードが必要であったり、要rootでかなりトリッキーな技が要るなど、まだ実用的とは言えない状況のようです。

有料だが転送電話サービスで両待受け的な動きは可能

ということで、デュアルSIM端末にカケホーダイSIMとMVNOのSIMを挿して同時利用するのは難しい、という現状はお分かりいただけたと思います。

が、SIMを切り替えて利用する前提であれば、電話を掛けるときだけカケホーダイSIMに切り替えて普段はMVNOのSIMで電話を受ける。という使い方は可能です。

また、無効にしているSIMカードの電話番号の着信を無理やり取る方法としては、別途有料にはなりますが、転送電話サービスを使う手もあります。
Zenfone_selfie_dual_sim_11_sh

Zenfone Selfie の場合、これは「デュアルSIM通話転送」から設定できます。

転送先は携帯の番号だけでなく 050plus などのIP電話も指定できるので、通話専用SIMとデータ通信専用のMVNOのSIMの組み合わせの場合でもデータ通信SIM側の050plusで着信を取る事は可能です。

ただし、通話SIMから掛け直す際にはSIMの切り替えに分単位の時間が掛かることもあるので、使い勝手の面での覚悟は必要となります。

SIMカードの切り替え利用が目的なら価値あり

ということで、現状の一般的なデュアルSIM機の活用方法・利用方法はこんな感じになるかと思います。

  1. 仕事とプライベートとで2枚のSIMを使い分ける
  2. データ通信可能量が少ないMVNOのSIMや、3日間のデータ通信量制限があるSIMを2枚挿して切り替えて使う
  3. ドコモとau、またはそのMVNOのSIMを切り替えて圏外などのサービスエリア対策(周波数が対応している機種の場合)
  4. 2G(GSM)がサービス中の海外で、3G/LTEとのデュアルスタンバイで使う(対応している機種の場合)
  5. 転送電話サービスを利用して、擬似的に2枚のSIMの電話番号への着信を1台のスマホで受ける(050plusの留守番電話機能と組み合わせても便利)
  6. 電話を掛ける時だけカケホーダイのSIMに切り替える(ただし、切り替えには時間がかかるので注意)

2枚のSIMの同時利用はできなくても、面倒なSIMの入れ替え作業をせずに回線を切り替えできるのは思った以上に便利で、これ以外にも活用方法はあるかと思います。

特に、通信速度の速さで有名な au系MVNO「UQ mobile」とドコモ系MVNOのSIMカードを2枚挿しにして、普段はドコモ系MVNOを使って容量を節約しておき、速度が欲しい時だけ UQ mobile を使う。という使い方なんかは、なかなかそそられる人もいるのではないでしょうか。

参考資料:

Hatena Pocket Line

コメントを記入