【コラム】NTTドコモ、ついにMNP時のキャッシュバック廃止へ。総務省の負け試合は止まるのか

 2024年8月9日

close up of woman hands with smartphone and money

NTTドコモがMNP(携帯番号ポータビリティ)契約時のキャッシュバックを廃止する方針を固めた、とNHKが報じています。

今日はこの件について、日頃思っていることを書かせていただきます。

 

携帯・スマホなどのMNP契約時に支払われる高額なキャッシュバックが、ときおりニュースを賑わせていますが、今回はこれをドコモが取りやめる。という話になります。

キャッシュバックは利用者の通信料を原資としているため、継続利用者とMNPユーザー間での料金負担の不公平感を生む原因となっており、また、行き過ぎたキャッシュバック競争が通信料金全体を高止まりさせる要因となっていることは周知のとおりです。

このほか、家計の可処分所得に占める通信費の割合は21世紀に入ってから上昇傾向にあり、消費を抑制する要因のひとつとして槍玉にあげられているうえ、ここ数年は円安による端末調達価格の上昇が、通信料金も含めたキャリアへの支払い総額の上昇に波及するなど、移動体通信の料金が外部環境に左右されやすい構造になっている点も問題点と言えるでしょう。

このような現状を問題視する現政府の意向を受けて設置された総務省の有識者会議は、明日16日に取りまとめる報告において、様々な問題がある中からMNP契約時のキャッシュバックの扱いを焦点の1つとして上げており、今回のドコモの方針はそれを踏まえたものとみられます。

「携帯料金引き下げ」という分かりやすい政府方針が報道で大きく取り上げられたこともあって通信行政としては珍しく耳目を集めた今回の「携帯料金引き下げ劇」ですが、もともとはMVNO(仮想移動体通信事業者)も、総務省が携帯料金引き下げを意図して推進してきたとも言われており、そういった一連の通信料金値下げを意識した政策の一環として今回の値下げ劇も捉えるべき、と私は考えています。

振り返れば、携帯料金引き下げに関しては、総務省はキャリアとの戦いで「負け試合」を重ねてきた過去があり、キャリアへの携帯料金値下げ圧力はむしろ通信料金の上昇を招いてきた、と見られてもおかしくない状況です。

そういう意味でも、行政が茶々を入れるとキャリアがそれに便乗して実質値上げをする。というお決まりのパターンを今回は断ち切ることができるのか、非常に注目されるところです。

MVNO政策の成功や国内でのSIMフリー機の認知の広がりなど、負け一辺倒だった総務省の施策にも明るさが見られるようになってきた昨今、少し古いネタですが、総務省にとっては「そろそろ反撃してもいいですか?」と言いたくなるタイミングなのかもしれません。

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