王者の安定感。5.2インチSIMフリースマホ「HUAWEI P9」レビュー
2016年を代表するSIMフリー機、といっても過言ではない感のあるスマートフォン「HUAWEI P9」のレビューをお届けします。
今年は、国内でも HUAWEI ブランドが浸透した「HUAWEI元年」と言えそうですが、その中でも特に象徴的な機種がこの HUAWEI P9 です。
HUAWEI P9 の総評
まず最初にいきなりですが、HUAWEI P9 をしばらくの間使ってみた僕の総評から書いていきます。
HUAWEI P9 は、いかにもファーウェイ機らしい高い安定性と、価格と性能のバランスの良さ、お値段の割に悪くない外観、4G / 3G の対応バンドの多さとLTEのキャリアアグリゲーションにも対応しているという、非常に見どころのある端末。というのが僕の感想です。
HUAWEI の独自UI「EMUI」は Android に慣れた人には最初は戸惑う部分もあるかもしれません。しかし、好みのホームアプリをインストールすれば通知領域以外は変えられますし、EMUI 標準のホームアプリは iOS のホームを強く意識したものなので、iPhone ユーザーにはむしろ馴染みやすいと言えるかもしれません。
GPS などのアナログ周りは、SIM フリー機としてはかなりしっかりした印象で、Android Auto やGoogleマップナビ用の車載端末として使っても特に不満はありませんでした。
バッテリーの持ちが Xperia とかと比べればお世辞にも良いとは言えない、防水仕様ではない、SoC が Kirin 955 なので3Dが苦手、といった欠点はありますが、お値段を考えれば総合点は十分といったところです。
3D の苦手な Kirin SoC ってことでデレステは2Dモードになっちゃいますし、モンハンエクスプロア(MHXR)のテクスチャ品質は悪くなる。と聞けば分かる人は分かると思いますが、そういうレベル。ポケモンGO や Ingress 程度のライトな3Dゲームなら、そりゃ Snapdragon 820 機に比べたら動きはスムーズではないけれど、普通のプレイなら差支えはない。そんな使用感です。
P9 Lite と違ってデュアルSIM対応ではありません。が、興味本位以外でデュアルSIMを活用できる方はあまりいない気がしますので、実用上は P9 で正解なんじゃないかとも。
HUAWEI + Kirin SoC の Android 機らしく、2Dアプリのパフォーマンスは Aututu の総合スコアからは想像出来ないくらいに快適、というのは特筆すべき点です。
用途さえ間違わなければ価格に対する満足度はかなり高い端末。そんな評価をこの HUAWEI P9 には捧げたいと思います。
HUAWEI P9 Antutu ベンチマーク詳細
(※機種名がSCV33になっているのは表示上の問題で数値はP9のものです)
HUAWEI P9 の Antutu ベンチマーク(実測値)は以下のとおりです。
- 3D: 19148
- 3D[孤立]: 10633
- 3D[ガーデン]: 8515 - UX: 36715
- UX データセキュリティ: 7155
- UX データプログレス: 5721
- UX 戦略ゲーム: 10432
- UX 画像処理: 6294
- UX I/O パフォーマンス: 7113 - CPU: 34302
- CPU算数 : 11383
- CPU共通のアルゴリズム: 9054
- CPU マルチコア: 13865 - RAM: 5320
Snapdragon 820 搭載のフラッグシップ機「Galaxy S7 edge」と比べると 3D[孤立] が3分の1、3D[ガーデン]が半分、UX画像処理が半分、RAMが半分。という感じ。逆にUX I/Oパフォーマンスは2倍近くと健闘。その他の数値はほぼ互角か、P9 の方が高性能なものも少なくありません。
P9は、3D性能にさえ目をつぶれば格安スマホの癖に触っていて気持ちの良い端末ですが、それを裏付けるようなベンチマーク結果と言えそうです。
HUAWEI P9 フォトレビュー
そんな「HUAWEI P9」を写真で確認していきます。
厚さは7.5mmと薄く、しかも2.5D液晶を採用。手に持った時のなじみが大変良い端末と思います。
外箱。
開けるとこんな感じ。
付属品はUSB充電器、USB type-C ケーブル、イヤホン、micro USB type-B → type-C 変換アダプタ、保証書、クイックスタートガイド。
あと、SIM取り出しピンが付属します。
ACアダプタは5V 2A。電圧が5Vであることから Quick Charge 2.0 / 3.0 の急速充電には対応していないのでしょう。
USB type-C のケーブルとは別にtype-C用の変換アダプタが付属します。初めて USB type-C を使う人にも安心。
さらに、液晶保護フィルムと保護ケース(透明ハードケース)も付属してくるというサービスの良さ。
SIMカードスロットはピンで取り出すタイプ。
右側面。電源ボタン、ボリュームがあります。
左側面。SIMカード・SDカードスロットがあります。
底面は USB type-C とイヤホンジャック、スピーカー、マイク。
サイドはつや消しの梨地ですが、縁取るように光沢部分が配置されており、チープにならないよう配慮されているように見えます。
カメラはライカのデュアルレンズ。薄さ7.5mm でありながら、レンズ部が完全にフラットというのはなかなか。
カメラもSIMフリー機としては十分な出来です。高解像度の映像をモノクロカメラで撮影し、そこに通常カメラの色彩をソフトウェア的に重ねる仕組み。エッジの効いた絵作りが特徴です。カメラ画像をJPEGで保存・流通している現代のニーズに合った非常に合理的なアプローチと思います。(JPEGでは不可逆圧縮時に色彩情報を間引きして記録していますからね)
背面。カメラはフラッシュ付き。もはや必須といえる指紋認証機能も付いています。
NFC は Type-F 非対応。Android Pay は Edy 対応の国内仕様ではなく、海外仕様での利用となります。
対応バンドは以下のとおり。
FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/19/20/26/28
TDD-LTE:B38/39/40
LTE CA DL (カテゴリ6) : B1+B19/B3+B19/B1+B3/B1+B8/B3+B8
W-CDMA:B1/2/4/5/6/8/19
これだけ対応していれば、少なくとも中国、台湾、香港といったアジア圏で困ることは少なそうです。
下手に海外の通販サイトで買うよりも、国内で正規品を買ったほうが安い。というのもポイントかもしれません。
僕は現在、メイン端末として Galaxy S7 edge を使っていますが、サブ端末として必ず HUAWEI P9 も持ち歩いています。下手に放熱が悪い Snapdragon 810 世代の機種よりはこちらの方が使いやすい、と、動物的に判断しているからなのだと思います。
現在は、3Dとメモリ周りが大幅に高速化された Kirin 960 搭載の Huawei Mate 9 が発売されていますので、そちらも要注目です。
今年、Huawei 機のブレイクにより国内でも一般的になったKirin 搭載機ですが、MediaTek の SoC も最新世代では3D性能がかなり改善されているため、ひょっとすると2017年はこの手の SoC を搭載したスマートフォンが国内でもより身近なものになるかもしれません。
もっとも、3DのAntutuスコアほどにはなんだか滑らかに動かない。という感じもなくはありませんので、まだまだ Snapdragon のアドバンテージはありそうですし、負荷の平準化はバッテリーのもちの良さにも繋がる気はするので、色々とまだまだな部分はありそうですが。
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