時計ブランドのAndroid Wearスマートウォッチ「Fossil Q MARSHAL」レビュー
安価な時計ブランド「Fossil」の Android Wear スマートウォッチ「Fossil Q MARSHAL」を2ヶ月ほど毎日使って分かったことを、長期レビューという形でまとめておきます。
Fossil Q MARSHAL は、最新のウェアラブル用 SoC「Snapdragon Wear 2100」を採用した Android Wear 2.0 スマートウォッチ。
6月後半から Fossil 公式サイトを皮切りに各所で大幅値引きで販売されており、実質2万円台前半で購入できる掘り出し物系スマートウォッチとなっています。
異物が腕に巻き付いている感じがない。時計らしさ
さすがは時計メーカー、という事でしょうか。Fossil Q MARSHAL は、スマートウォッチにありがちな「変なものが腕に巻き付いている感じが無い」というのが最大の特徴です。
必要なバッテリー容量が大きいため、そのスペースの確保の絡みで、まだまだゴツくなりがちなスマートウォッチ。そんな中でも本機は、ゴツいけど見た目も悪くない、両立できている機種と言えます。
実際、見た目の評判も悪くはなく、周りからも「これなら普通の時計って感じだね」と評価されることが多かったです。
デジモノとして見れば色々と言いたいところはあるけれども、何よりもこの「普通さ」に価値を見出せる人にこそ選んで欲しい機種だと思います。
革バンドに慣れるまでは違和感がある
僕はほとんどスーツを着ない身分のため、今回、カジュアルに合いそうな革バンドとブルーメタリックタイプのケースを購入しました。
写真を見ていただいても分かるとおり、革バンドはとてもしっかりした作りとなっており、肌になじむまではかなり硬さが気になります。また、ケース重量が重いことも関係してか、購入後2週間くらいは、手首の負担がガマンできなくなることも度々。3週間目にはかなり慣れてきて、最終的には問題なくなりそうですが、一応、当初は覚悟した方が良いかもしれない点として挙げておきます。
当初は気になるであろう手首の圧に関しては、手首の甲に圧が集中するケース形状も一因かもしれません。が、これも、時間とともに気にならなくなってはきます。
いきなり厳しめの意見からお伝えしていますが、良い時計の条件である「軽くてつけ心地が良い」という部分に関していえば、この時計はどちらも当て嵌まらないとハッキリ言っておくことは大事なことです。もっとも、この機種に限らず、現在の Android Wear はまだまだ大きめのバッテリーを必要とするため、この機種だけを一概には責めづらいところでもありますが。
それでも、かなりゴツいと思っていた LG G Watch R を2年近くメイン機として使ってきた僕の視点から見ても、買い換え当初は「失敗したかな。もっと軽いLG Watch Style にしとけば良かったかな」と、3日くらいは思っていたことは正直に告白しておきます。最終的には価格の件もありますし、今では、愛機と呼べる程度には納得してはいるんですが。あとこの見た目は大事ですしね。
ちなみに MARSHAL にはメタルバンドのシリーズもあります。バンドが気に入らない場合は、標準的な 22mmのバンドと交換もできます。ただし、この色のケースに合うバンド探しは難しそうなので、バンドは茶系色のものを選びたくなるかもしれません。
バッテリーは1日持つ。2日は無理
スマートウォッチと言えば一番気になるのはバッテリーの持ちですが、結論から言うと、今のところ丸1日持たなかった事はただの1度もありません。(画面を常にON、手首の動きで画面ONをオフ、OK Google 有効、画面の明るさ最低)
ただし、遠出した日の深夜、日付が変わる頃にバッテリー残量が1桁になったことはあります。その一方で、2日目の夕方4時ごろに9%という表示も見たことがあるので、使用状況や設定でかなり差は出てきます。特にバイブの使用頻度に大きく影響される印象です。
有機EL機だったらもっとバッテリーが持つのになぁ。と、ふと思いかけましたが、よく考えたら Sony の Smart Watch 3 みたいな古い液晶機でも、もう少しはバッテリーが持った記憶があるので、Fossil Q は、最新SoC搭載でこれだけバッテリーを積んでる割にはバッテリーが持たないね、という印象は拭えません。絶対的な省電力設計に関しては弱さがあると言って差し支えはないでしょう。
ただ、それは、僕がこの機種のバッテリー容量を知っているから言うのであって、実用上はほぼ問題のないバッテリーの持ちには仕上がっている。という事はお伝えしておく必要があります。
同世代のSoC搭載スマートウォッチの中には、省電力分をバッテリー容量削減に充ててしまっていて、1日持つか微妙な機種もありますから、省電力設計の弱さをバッテリー搭載量の力技で解決している、という点では、個人的にわりと嫌いではない仕様の落とし所になっていると感じるところです。
いちおう、バッテリーの持ちを具体的な数字でも書いておくと、朝7時45分ごろに100%だったバッテリーが、夕方4時~5時ごろに50%になる感じ。心もとなければ、バッテリーが15%以下になると自動的に省電力モードになるので、そこで粘ってくれるという事は覚えておいても良いでしょう。
意外だったのは、Wi-Fi が ON でもそこまでバッテリーの減りが気にならなかった点。もちろんOFFにした方がバッテリは持ちますが、Wi-Fi 接続のまま昼の2時くらいまで気が付かなかった、という日は実際にありました。
ワイヤレス充電はかなり遅いけど何故か気にならない
この機種には、写真のようなワイヤレス充電器が付属します。
初めて無線充電式のスマートウォッチを買ったのですが、正直、びっくりするほど充電に関しては遅く感じます。(2ヶ月経った今では慣れましたし、やっぱり相変わらず困ってないのですが)
正確に測ってはいないのですが、日常使いでも(0%じゃない状態からでも)充電完了までは3~4時間くらいは掛かっている気がします。
充電が速い機種なら、万が一、寝る前に充電し忘れても出勤前のわずかな時間で1日持ちこたえてくれますが、この機種はそうはいかないので充電忘れには注意が要ります。
とはいえ、充電が速い機種というのはたいてい接点型充電になっていて、知らない間に(たとえマグネットが付いていても!)充電台から微妙に外れて充電されてない、なんて事は少なくないのですが、この機種は何故だか、充電器がズレにくく、一度充電が始まりさえすれば安心。外れる不安はほぼゼロです。
ちなみに、アプリ「Feel The Wear」で設定すれば充電開始時に音を鳴らすこともできます。充電の開始を確実に確認できるということで、これらの合わせ技により、個人的には充電の遅さはまったく気になっていません。
保証は長めの2年間
保証期間は長めの2年間です。1年しかない機種に比べて確実に安心感があります。
Bluetooth ハンズフリー機能は意外と便利
本機には Bluetooth スピーカーマイク機能が付いています。ということは、戦隊モノのヒーローみたく、スマホから掛けたり掛かってきた電話を腕時計から通話できちゃうわけです。
このヒーローモード(嘘)は緊急時にはまぁ、使えなくもない感じ。本機を使っている人はさほど違和感なく通話できるのですが、通話相手側は自分の話した声が帰ってくるので話しづらいとのことでした。
ただ、なんでかこの機種を買ってからは、Bluetooth ヘッドセットを持ち歩く頻度が減ってはきた、ということはお伝えしておきます。通話をあまりしない人には関係ない点ですが。
タッチ操作のスムーズさはさすが
さすがに Snapdragon Wear 2100 を搭載しているだけあって、画面の動きや手書き機能など、性能に関する不満は全く無いと言って良いです。動作はとてもスムーズ。
昔使っていた Snapdragon 400 機でも十分スムーズかと思っていましたが、明らかに良くなっています。
なんだろう、良い部分の話しになると字数が伸びないのは僕の性格なんでしょうか…。
画面の下の欠けは慣れる
あと、これに触れないわけにはいかない、というもう一つの点ですが、この機種、変則円形ディスプレイとなっており、下の部分が一部欠けています。そういう仕様なんです。
この画面の欠け、ウォッチフェイスによっては盛大に気になるケースもあるのですが、カスタマイズと慣れとで意外と気にならなくなる不思議ポイントでもあって、僕も数日で慣れてしまいました。(2ヶ月経った今では全く気にならないです)
一応、最初は思う所があるかもしれない部分、ということで書いておきますが、そんなに気にするところではないです。
機能面の華はないが、見た目も含めて実用的な機種
なんというか僕の性格もあってか、欠点ばかりを挙げてしまった感じもある Fossil Q ですが、まぁ、今では愛機と呼べるくらいにはなりまして、朝起きると必ず着ける感じにはなりました。
まとめると、見た目・性能・機能・価格のバランスが実用的で、こういう機種が選べる時代になったんだね、と思える Android Wear 機です。
画面の下が一部欠けていることや、購入当初の装着感には思う所がなくもないため、ベストバイとは言いづらいですが、スマートウォッチの見た目問題にお悩みの方には、選択肢の1つとして十分に提案できる機種と思います。
一方で、ガジェットとして仕様上の華がある機種ではないため、減点方式の人よりも加点方式で評価する人向けの機種かな、とも思います。
いちおう念のため言っておくと、この機種には心拍数計がありませんし、スマートウォッチ単体で機能するGPS機能もありません(スマートフォン側のGPSは使えます)。フィットネス用途でこの手の機種を買う人はいないとは思いますが、一応、そういう立ち位置の機種であることは意識して購入すれば、不幸にならずに済むでしょう。