【単3】電圧が1.5Vの充電池を探せ【単4】
アルカリ電池など、一般的な乾電池の公称電圧は1.5Vですが、例えば同じ単3電池でも、エネループなどの充電池は1.2Vと少し低めなのをご存知ですか?
「え、エネループなどの充電池でも普通に使えているよ?」という方がほとんどかと思いますが、それは乾電池向け機器の多くが、低電圧でも動作するよう設計されているから。
乾電池は通常、残容量が減るにつれて緩やかに電圧が降下する特性を持っていますから、2割減くらいの低電圧であるエネループで動かないような機器は、そもそも乾電池でもすぐに電池切れ警告が出てしまうのです。
とはいえ世の中には、公称電圧1.2Vの充電池だと電圧不足で動作しない・動作が不安定になるというシビアな機器も稀ですが存在しています。
今回は、その手の電圧降下にシビアな機器で充電池を使うために、
- 電圧が1.5Vくらい出る
- 繰り返し充電できる
- 単3・単4の乾電池の形をした製品
を探してみました。
電池の電圧は素材で変わる
本題に入る前に、"電池の電圧は素材によって決まる" という基礎知識について、簡単に触れておきます。
私たちが "乾電池" と呼ぶアルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池の電圧は公称1.5V。この電圧は、正極・負極や電解液の材料特性により決まっています。
一方で、エネループなどのニッケル水素電池の場合、繰り返し充電できる素材を使う代わりに、電圧が1.2Vと低くなっているのです。
つまり、電圧が1.5Vの充電池を探すには、
- 充電ができ、かつ1.5V出せる材料が使用されている製品
- 昇圧・降圧回路(DC-DCコンバータ)を充電池に内蔵し、出力を1.5Vへ変換する製品
のいずれかを探す必要があるわけです。
それではさっそく、具体的な製品例を見ていくことにしましょう。
降圧回路内蔵リチウムイオン二次電池
スマホやモバイルバッテリーなどでおなじみのリチウムイオンバッテリー。その技術を使いつつ、形状を単3・単4形にした製品も、いちおう存在してはいます。
とはいえ、リチウムイオン二次電池の電圧(素材によるが、公称電圧は概ね3.6~3.7V前後)そのままでは一般的な単3・単4電池としては高すぎるため、1.5Vへの降圧回路を電池に内蔵してしまうことで爆誕したのがこのような製品です。
この手のリチウムイオン二次電池を乾電池向け機器で使った場合、通常だと残容量低下の警告機能が正しく動作しないもの(※1)ですが、先のXTAR製品は、残容量低下を自動検知して意図的に1.1Vに電圧降下。乾電池向け機器側の低電圧警告機能を動作させる仕様となっており、大変イケているのもポイントです。
(※1 一般的な乾電池は緩やかに電圧が降下しますが、リチウムイオン二次電池は残容量が少なくなると、電圧が急降下する特性があります。)
(※ この手の製品は専用充電器が必要なケースが少なくありません。充電池と充電器を別購入する場合は、安全のため正式対応している組み合わせを購入してください。)
このほか、電池本体に充電用USB端子を搭載した変態っぽい製品もありますが、電池本体に充電機能があるものより、専用充電器で充電するタイプの方が高容量なのでこちらを紹介しました。
なお、ご存知のとおり、リチウムイオン電池は危険な素材で出来ていますので、この手の製品は特に自己責任で。知る限り、少なくとも国内大手メーカーはこんな危なかっしいものは作っていません。
また、内蔵DC/DCコンバータが対応できる電流量の限界値にも注意が必要で、大電流が必要な用途では使えないことがあるのも注意。(例えば、先のXTAR製品は200lm以上のライトなどでは使えません。)
以前だと、未使用時でも内蔵DC/DCコンバータが微妙に電力を消費するため、充電後の長時間保管には向いていない製品が多かったのですが、最近はこの問題に対応した製品もある様子。
手放す際も要注意です。近頃はメルカリなどのフリマサイトで中古バッテリー・破損バッテリーを出品できませんし、自治体によっては、PSEマークのないリチウムイオンバッテリーの廃棄を受け付けていない場合もあります。
機器によっては、バッテリー膨張時に取り出すのが大変になるリスクもありますし、屋外・車内など、高温・低温環境での利用にも向いていません。
使用~廃棄に至るまで、すべて自己責任。注意すべき点も多い、というのがこの手の製品の欠点にはなります。
関係ないですが、この手の製品を購入する際は、充電できないタイプのリチウム電池もあるので、間違えないよう注意してください。
ニッケル亜鉛電池(NiZn)
ニッケル亜鉛電池は、公称電圧1.6Vの二次電池です。
公称電圧は少しだけ高めですが、一般的なアルカリ電池でも使い始めは1.6V前後は出ているので、電圧が近いからNiZnでも動くっしょ、という感じのノリの製品になります。
日本国内では現在、ほとんど販売されていませんが、一部の通販サイトや海外を調べると、乾電池と形状互換のあるニッケル亜鉛電池が今でも販売されています。
ただし、NiZnも公称電圧こそ1.6Vですが、満充電時は1.8V以上出るため、機器を破損してしまうリスクが無いとは言えません。
また、エネループのようなニッケル水素電池とは放電特性も違うため、大電流が必要な用途には向きません。また、これはNiZnに限りませんが、専用充電器が必要になる点も注意が必要です。
最近はほとんど聞かなくなりましたが、かつてはカメラのフラッシュのチャージに使われるケースもあったような。いずれにしても最近はあまり聞かなくなった電池です。
充電式アルカリ電池
ここまでとはちょっと違うアプローチになりますが、公称電圧1.5Vのアルカリ電池の中には、なんと充電可能とうたっているものも存在します。
一般的な充電池と比べて充電可能回数はかなり少なめですし、電圧も使用状況によって不安定ですが、概ね、数十回程度の充電・再利用と1.3V強の電圧が得られる製品になります。
実際には、「動作するけどバッテリーの持ちが非常に悪い」とか「低電圧警告が出っぱなしになる」ケースが多い印象。手持ちの機器で全く動作しないのは特定のレーザー製品だけにはなりますが、それでも、この手の1.5V充電池で(自己責任と引き換えに)かなり快適にはなりました。
ただし、現在ではこの手の製品はあまり一般的ではないため、ここでは詳細や製品販売サイトなどは書きません。
ざっくりと概要だけ書いておくと、基本的には「普通のアルカリ乾電池だけど、封入が厳重だから物理的には充電にも耐えられるじゃろ?」というアプローチの製品が多いようです。
さらに言えば、「市販の充電用ではないアルカリ電池でも数回くらいなら充電できる」と考えておられる強者もいるようですが、オススメできないのは言うまでもありません。危ないです。
1.5Vの充電池が必要な機器・用途とは?
冒頭にも申し上げたとおり、一般的な乾電池向け機器は1.2V前後でも動作するよう設計されているケースが多く、実用上、よくあるニッケル水素(Ni-MH)系の充電池で困ることはほとんどありません。
では、今回紹介したような1.5V出力の充電池が必要な機器とは何なのか、ですが、これは私の経験上、乾電池式ワイヤレスマウスのようなLED機器やレーザー機器の一部がそれにあたります。
まとめ
ということで、国内ではわりかし怪しい販売者が扱っているケースが多く、色々と自己責任でお願いしたい感じのジャンルの製品を紹介してみました。
容量表記もmAhとmWhが混在していたりして、計算してみたら「少ねぇじゃん」なんてこともあり笑っちゃう感じ。そういう世界だと認識しないと足を踏み入れた途端にやばい、そんな雰囲気だと理解した上で先へとお進みくださいませ。
主に、AAA(単4)、AA(単3)でお探しの方が多いジャンルかと思いますが、単1・単2・単5と形状互換のある製品があるかは不明です。
参考資料:
通りすがり says:
6年前
乾電池が1.5V維持できるのはほんの短時間で、負荷をかければ、むしろ充電池よりも早く電圧が下がるので、乾電池用機器で公称電圧1.2Vの充電池では電圧不足で動作しないというシビアな機器は無いと思いますが。
もしあれば実例をあげて紹介して下さい。
ひろも says:
6年前
最近の機器は、一般的に充電池でも動作するように設計されているようで、特に、大手メーカーの機器では最近は問題を経験したことはありません。
しかし、その筋では有名だけれども小さなメーカー製のあるLED発光機器で、充電池では動作時間が極端に短くなり使い物にならないケースが最近ありました。
また、名も知らないメーカーの機器で、パワーが異なる複数製品のうち、最もパワーのある製品でのみ、充電池では全く起動しないケースも最近経験しています。
なお、具体的な製品名については公表は控えさせていただきます。
するがワン says:
5年前
ガスコンロ着火用の単1電池を、スペーサを介した充電池に置き換えたら電圧不足で快適動作とはならず、1.5v充電池はないものか…と探してこちらに辿り着きました。
残念ながらそうした(適切な)製品はないだろうことは分かりましたが、こちらの記事は楽しく拝読しました。
通りすがりさんが、さも分かったような口振りで粗を見つけたかのようにご満悦ですが、アルカリ乾電池の多くは記事中にもある通り未使用新品時には1.6+v程度あり、未使用で大気中保存、つまりほったらかしのまま期限を2年経過したもにでも1.5v以上程度の残存があるのが普通です。
1.5v時を基にした仕様表記がなされている、カメラ用ストロボや直列にいくつも繋ぐ必要のあるラジコンカーなどでは、ひとつあたり1.2vでは話にならないものが多くありますね。
馬鹿丸出しの発言をせずに済むだけの教育を与えてくれた、両親や教師やその他の大人たちに感謝しきれない思いです(笑)
通りすがり2 says:
5年前
格安トランシーバーが単四4本必要で,1.2Vの充電池だとごく稀にしか電源を認識しません。認識しても電池容量表示が最低の1目盛り表示。1.5V×4本は6Vなので,1.2Vだと約1本分の電圧不足になるからだと思います。1.2V×5本にすればちょうどいいので,外付け電池パックを自作するほかないかなぁ~
参考になった says:
4年前
赤ん坊用の玩具、メリーは1.2v充電電池では動きませんでした。(国内メーカー製ですが、もちろんメイドインチャイナ)
乾電池で使っていても多少の電圧降下ですぐ動かなくなってしまうので充電電池で1.5v探していて当サイトに来ましたが、地道に乾電池を大量に買って交換しながら使うことにします。