【DIY】窓用の取り外し可能な防音壁を鉛で自作したら効果絶大(2/2)
さて、日中の静かさにこだわる僕がたどり着いた終着点「鉛製防音壁の自作」の第2部。製作編をお送りします。
どうしてこんなものを作ることになったのか、その経緯については前記事をどうぞ。
いちおう言っておくと、セミオーダーでサイズを決められる防音壁ってのも売られてはいるんですが、汚れた時のメンテ性や、防音素材、厚みとかとかが色々と僕の要件に合わず。価格的にも自作の方が安価ですし、効果も大差ない感じでしたので、最終的に自分で作ることにした、という流れになります。
鉛のシートをカットする
さて、アイカ工業の化粧合板についてはホームセンターの工作機械でカットしてもらったので良いのですが、鉛のような金属に関しては近所にカッティングサービスが無かったので、自力でカットする方法を考えなければなりません。
と、ここで、釣りが趣味だった親父が鉛を自宅で加工していたことを思い出しました。鉛は柔らかいので、手で曲げたり切ったりしていたような気がしたのです。
今回は、0.3mm厚とかなり薄手の鉛ですので、ものは試しとばかりにOLFAの普通のカッターナイフで切ってみることに。
するとご覧のとおり、工作用のカッターナイフでもサクサク切れるじゃないですか。
この厚さの鉛なら、ちょっとした厚紙くらいの感覚で加工できることが分かりました。自宅でもカッティングマットと指金(金属製の物差し)、あと、カッターナイフさえあれば mm オーダーでの加工が余裕で可能。心配は杞憂に終わりました。
今回は粘着付きの鉛でしたが、特に粘着が邪魔になることもありませんでした。
鉛シートのカッティングが終わったら、化粧合板とサイズの違いが無いか、重ねて確認しておきます。
と、ここでどうやら 5mm ほど尺の読み方を間違っていたことが発覚。再カッティングをするハメに…。
とりあえず、鉛のカットの工程は完了です。
鉛シートを化粧合板と接着する
次は、カッティングした鉛シートと化粧合板の接着です。
今回は接着剤付き鉛シートを購入したので、鉛シート側の剥離紙を剥がすだけの作業になります。
作業としては、スマホの液晶保護フィルム張りに似た感覚。合板と鉛の接着面を合わせた状態で、真ん中の剥離紙を少しずつ剥がしながら貼り込み位置を確認。上から力を掛けて慎重に接着していきます。
サイズが大きいので、ちょっとした角度のズレが後半、大きなズレに拡がっていく点に注意。少しずつ角度を補正しながら貼っていくのがコツです。
なお、貼りながらでも若干の方向修正はできたので、慎重にやれば大丈夫かも。
後から振り返ると、鉛を一回り大きくしておいて、貼った後に鉛を合板サイズにカットする方法の方がスマートだったかもしれないなー。とは感じましたが。
貼り合わせが終わると、下の写真のような感じに。
このままでは、鉛面の審美性に問題がありますので、裏面にも化粧合板を貼り合わせます。
今回は、防音性能の不足が判明した場合に追加の防音素材を入れられるよう、反対面は接着しないことにしました。
ここまでの工程が終わると、下の写真のようになります。
「かぶせ」をカット→防音壁にはめ込む
このままでは防音壁がバラバラになってしまいますし、窓枠に傷を付けてしまいますので、かぶせを使って端を押さえつつ、見た目もキレイにします。
PVC製のかぶせなので、こちらも工作用のカッターナイフでカットできました。
作業性を考えると、写真のような細いカッターナイフではなく、もっと太いタイプの方が良いと思います。
僕の腕では mm 単位精度でのカットはできませんでしたが、後から端を削る形で調整ができましたので、少し余裕をもって大きめにカットしておくと良いでしょう。
かぶせのカットが終わったら端から順にはめ込んでいきます。
が、これが流石にサイズオーバーということもあって、とにかく堅い!
化粧合板の表面をかなり破壊しながらも、なんとか長辺のはめ込みに成功。
最後に短辺にも「かぶせ」を付けて完成です。こちらはあまり苦労することなく取り付けできました。
化粧合板の木目の向きによって「かぶせ」の取り付け難易度がかなり変わる印象ですが、一般的に売られている1820x910mmサイズの合板は、なんとなーく長い辺の方向に木目が流れている気がしますので、カッティング時に向きを調整するのは難しい気がします。
サイズが合わない…
さて、ここまで作ってから気が付いたのですが、完成した防音壁のサイズが、mm単位で微妙に合わない。
合板は窓より3mm小さめにカットしたのですが、かぶせの厚みがそれ以上だったため、全体のサイズが微妙に大きくなってしまったようです。
最終的には短辺の「かぶせ」を外して数mmだけ高さを短くして解決したのですが、正直、このカットの工程が一番大変で。
合板単体や鉛単体のカットはさほど難易度が高くないのですが、鉛と合板が一緒になってしまうと、刃物でのカットの難易度がかなり上がってしまうんですね。
というわけで、後から真似される方は、鉛を合板に張り合わせる前にかぶせを嵌めてサイズ調整しておくことをオススメします。
ちなみに、貼ってからのサイズ調整は、ナイフで何度も繰り返し同じラインをカットするのが一番楽かも。
防音効果はかなりある
今回は、あえて取っ手は付けませんでした。というのも、防音壁は窓枠に突っ張る形ではめ込むので、板の片側を押せば簡単に取りはずせるからです。
取っ手を付けたいなら、どこかに紐などを取り付けて引っ張る形にしても良いですし、かぶせにハンドルを取り付けるのが良いかもしれません。
とりあえず、これで、この部屋単体で2つの窓で通風・換気できるようにしつつ、日中の静音性も確保できるようになりました。
防音効果は絶大。南側の窓に防音ガラスの2重窓を入れたことも効いているのだとは思いますが、 外から入ってくる音が丸くなったというか、精神的にほとんど気にならなくなりました。正直、周りで人が生きているのか心配になる時間帯がほとんどです。
特に大きいのは車の音。全くの無音ではないものの、1台あたり、エンジン音が聞こえる時間がかなり短くなったし、台数もかなり減った印象です。
こういうとアレですが、我が家は壁の性能も悪くないので、いくら全窓ペアガラスとは言え、窓ガラスの防音性能不足が目立ってしまったのかもしれません。
逆に、飛行機の騒音に関してはあまり減衰していない気が。ただ、聞こえる時間が短くなったような気もするし、心理的な圧も多少下がった気がしますので、効果がないわけではない気もします。
面白かったのは、副次的効果として換気口から入ってくる音が気にならなくなったこと。薄々感づいてはいたのですが、音の侵入経路複数があると室内で共振して気になりやすい、というメカニズムがあるのかもしれません。
ということで、これでようやく、僕の長かった騒音との戦いは終わりを告げそうな雰囲気です。いや、また時間が経てば、より追求したくなってくる部分は出てくるのかもしれませんが…。
ただ、周りの環境や天気、気温、曜日、時間に関係なく、いつでも寝れる、どんだけでも寝れる環境を手に入れたってのは、時間の縛りから開放されたい僕にとって、1つのマイルストーンであることは間違いありません。
色々と、深夜でないと出来ないことが多い方向へ傾倒しようと思っていますので、体を壊さない環境づくりは全てのベースになりますしね。