サーバーOSをCentOSからUbuntuへ乗り換え検討中
振り返れば会社員時代、僕が業務で扱ったほとんどの Linux サーバーは RedHat 系だった。
就職後、間もなく立てたSSLリバースプロキシは、当時、そんな用途に使えるとはほぼ知られていなかった RedHat + Apache 構成であったし、まだ AWS が出たばかりの時代、あるページにある日だけ集中する国内有数のトラフィックを捌くため、東京と別都市とに分散して大量に並べたサーバーも、思えば RedHat 系だった。
そして、野に下って十数年、僕はまだ当時の相棒を信頼しているらしく、今でも RedHat 系の CentOS を活用させてもらっている。
でも最近、ちょっと思う所があり、Ubuntu に乗り換えようかと思案しているのだ。
別にCentOSを嫌いになったわけじゃない
初めにこれだけはハッキリと言っておく。僕は、別に CentOS を嫌いになったわけではない。それが必要とされるケースはちゃんとあるし、その方針や思想、価値だってちゃんと分かっている。
当サイトでも CentOS 5・6・7と乗り換えてきたが、OS や標準リポジトリ周りのソフト絡みの安定性問題はゼロ。この程度の負荷ならド安定で信頼できる。それが現在の RedHat 系、という印象だ。
冗長化するほどの規模でもなく、運用に手を煩わせたくない用途なら、この「安定性の高さ」ってのは本当に重要だ。
なにせ、枕を高くして眠れるし、長期休暇でも安心して任せられる。ここは心理的に非常に大きい部分だ。
その点では感謝してもし尽せないワケだけども、最近、どうも自分の用途とは合わない部分が気になるようになってきたのだ。
RedHat系が「僕の用途に合わなくなってきた」事に気が付いた
「僕が、CentOSを使う目的は何か」といえば、「WordPressを1サイト運用するサーバーを立てるだけ」だ。昔のような大仰な用途ではない。
WordPress を主眼に置くなら、「最近の OSS が、新しいパッケージを積極的に要求しがち」という傾向は無視できなくなりつつある。これは時代の流れだ。
例えば、2020年7月現在、WordPress の推奨 PHP バージョンは 7.3 まで上がっている。そしてこれは、まだリリース後間もない CentOS 8.2 の標準リポジトリの PHP 7.2 よりも新しい。
もちろん、CentOS 8 でも、Remi 等のリポジトリから PHP 7.3 / 7.4 を簡単に導入できる。でも、先月出たばかりの CentOS 8.2 が、既に WordPress の推奨要件を標準リポジトリで満たせていない、というのは、僕には少なからずショックだったのだ。
ショックと言えば、ansible の playbook が CentOS 8 のパッケージ管理システムである「dnf」の(よく使う)一部機能をサポートしてない、という部分もショックだった。
一方で、問題なく対応できる新しめの仕様もある。例えば TLS 1.3 のサポートは CentOS 8 でも可能だ。ただ、OpenSSL 絡みで思い起こされるのは、確か CentOS 7.3 以前だっけかの HTTP/2 対応で苦労した嫌な記憶だ。
OpenSSL のように広範で利用されるパッケージは、アップデートするにしても影響範囲が非常に広く、手間が掛かる。そして、セキュリティ絡みの新仕様は早めにキャッチアップしたくなる性分だからなお困る。
最近の CentOS では、勝手リポジトリの努力の甲斐もあってか、パッケージ整合性で困るケースはかなり減った気がしなくもない。
今どき、回避方法なり代替手段はいくらでもあるのも事実で、例えば先の OpenSSL の件は、結果、docker コンテナ内でWEBサーバーを動かすことで解決できた。
しかし、全体を俯瞰して眺めると、結局のところ、
「新モノで苦労したくないなら、新しいもの好き向けのディストリビューションにしておけよ」
という本質に辿り着く気がして仕方がなくて。
Ubuntuで脳みそがツルツルになりそう…
長々と書いたが、そんなこんなで食わず嫌いだった Ubuntu を触ってみてびっくり。脳みそがツルツルになってしまうんじゃないか、と心配になるくらいにシンプルだった。
かつて、同僚の東大卒氏から「debian 系はパッケージ管理システムが素晴らしい」としつこく布教活動を受け、めでたく丸ごと嫌いになったコッチ系だったわけだけども、ほぼ初めて触るのに、意外とサラサラと使えちゃうから困る。
未インストールのコマンドをシェルで打ったら、候補パッケージが出てきたりするとか、びっくりした。何ソレ。いや、昔からそうだった気もするけども。
僕は昔、「硬派ぶってヤフオク1本だったけど、今はメルカリ最高!」という趣旨の記事を書いたことがあるのだけど、その時と似た感情かもしんない。「チャラい気がするから避けてきたけど、Ubuntu 最高!」ってなりかけてる状態なのかも。
インスト―ル後のディスク上のフットプリントが若干デカいのは気になるところだけど、今のところ、それ以外で不快に思う所は少ない。よくもまぁここまで作りこんだものだ、と感心する。
ということで、後は本番系で安定して動作してくれれば、OSのアップグレードの度にパッケージのバージョンや整合性の問題で悩む機会は減りそうな予感。
当時、僕に布教していた先の debian 信者は、すでにこういう未来を見透かしていたのかもしれない、と食わず嫌いを反省したのでした。
後日、不安定でしたー、という話にならないと良いんだけども。