ARM版Windows向けにx64エミュレーション機能(プレビュー版)が登場

Microsoft は2020年12月10日(現地時間)、Windows 10 Insider Preview Build 21277 にて、ARM版Windows 10 向けの x64 エミュレーション機能をプレビュー版として搭載しました。

Windows Insider Program(Devチャンネル)向けのプレビュー版ということで、まだ、一般に使われる状態には至っていませんが、これにより、現在普及している64ビット版アプリの利用が可能となるため、非常に大きな出来事と言えます。

ARM 版 Windows 10 向けには、これまでも x86 エミュレーション機能が提供されてきましたが、それによって実行できるのは32ビット版アプリのみ。現在、主流となっている64ビットアプリ(x64)は利用できませんでした。

ARM 版 Windows 10 は2017年にリリースされましたが、いまだに多くのアプリが、ARM64 にネイティブ対応しておらず、マイクロソフトの ARM 系 SoC「SQ」シリーズを搭載した Surface Pro X もそこまで普及していない状況です。

ARM 採用によるユーザー側のメリットとしては、まずは低消費電力である点が挙げられます。

例えば、Surface Pro X のバッテリー持続時間は非常に長くなっていますし、また、同じく ARM アーキテクチャを採用した Apple の M1 チップ搭載の MacBook シリーズに至っては、そのパフォーマンスの高さでも世界を驚かせました。

最近の ARM 系 SoC によるコンピューティングの盛り上がりは、ひょっとするとバッテリー駆動のノートパソコンだけにとどまらず、将来、ARM 上でコンピューティング需要の多くが捌かれる未来にすら繋がるものかもしれません。

ARM 版 Windows 上で x64 アプリが実用的なものとなれば、Arm64 非対応、かつ、32ビット版が用意されていないアプリが使えるだけでなく、32ビット版ではメモリ制約が厳しいアプリも使い物になるようになります。

x64 時代から ARM64 への移行期においては、特に Windows 環境でこそ、アプリケーションの互換性が重視される傾向がありますから、今回の ARM 版 Windows 向けの x64 エミュレーション機能の開発が順調に進む事を願いたいものです。

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