IIJmio meeting 29に参加してきた話とMVNOに求めるもの #iijmio

 2021年3月15日

2021年3月13日、MVNO の「IIJmio」が開催したユーザー向けオンラインイベント「IIJmio meeting 29」に参加してきたので、僕なりに気になった部分・感想を残しておきます。

自分向けのメモなので、内容の全てを網羅してはいません。また、面白いまとめ方もしていませんので悪しからず。

かなり攻めた料金プラン「ギガプラン」の発表後、ということで、IIJmio の中の人が何を考えているのか聞きたかったこと、特に採算面。また、総務省の方から通信行政絡みの話が聞きたかった、というのが参加の動機でした。

ということで、まずは僕が MVNO に求めているものを。続いて、イベントで得た情報を箇条書きで列挙しておきます。

MVNOに思うことと、僕が求める値段と通信品質

懇親会での発言は控えさせて頂きましたが、まずは、今回のイベントの個人的な感想と、日頃、MVNOに対して感じている事から書いていきます。

真新しい意見でなく恐縮ですが、僕も、MVNO が抱える最大の問題は昼休み時間帯などの混雑だと感じています。

その点では、新プランで導入予定の「少ない通信に対する優先順位面での配慮」に意義は感じられるものの、と同時に、それで十分なのだろうか、という疑問も感じてはしまうところです。(実際に使ってみないとなんとも言えませんが)

僕も門外漢のため、この件に関してかなり的外れな事を言うかもしれませんが、

「適正に算出された原価から接続料が決められているなら、MNO ではどうして混雑時間帯に Nationwide での低速問題が発生しないのか」

という疑問に対する(消費者向けの)リーズナブルな答えが必要となってくるのではないか、とは門外漢なりに感じるところです。(その結果、単純な土管としての市場性、という重大な結論に到達する可能性はあるのかもしれず。その前提での、付加価値うんぬん、という話だったのかもですが。)

MNO では現状、混雑時間帯でも少量の通信が滞る事態となることはほぼありません。また、トップスピードの低下も、体感上、そこまで大きなものではないとの認識です。

この問題について、IIJmio さんで解決できないなら、恐らく、他 MVNO でも少なくとも困難ではあろう、とは思うわけで、決して技術水準の問題とは思っていません。

ただ、どうしてこういった事象が発生するのか、その背景にある経済的、制度的な問題についてはある程度漏れ伝わってくるにせよ、そのまた背景にある "本質的な技術的困難さ" に対するユーザー向けの説明についてはもう少し分かりやすい形で必要だろう、とは感じるわけで。

IPの規格自体、土管の太さを有効に使い切れない設計であることや、MNO との接続契約が帯域幅ベースであること、そして、IPネットワークの輻輳時の挙動・特性は、ある程度理解しています。ミーティング中に出てきた「(IP通信制御は)カオス」「アプリ側の通信特性」という言い回しも、まさしく仰るとおりと思います。IIJmio さんが通信制御に関してコンサバティブなのも、そして、その意義も良く分かります。

そんな中で発表された新プランでの新しい通信制御は、"現状の枠組みで出来る範囲内の技術的取り組み"、という意味合いで実使用感に良い影響を与えそうだ、と推測はしていますが、それとは別に、MVNO が抱える通信混雑時の制御の技術的困難さを緩和するのに、その技術的な disadvantage を平ら、とまでは言わないにしても、そこそこ補えるようにするルールづくりや仕組みづくりが必要なのではないか、という気もしたりするのです。

その点でいえば、他国の MVNO が制度・技術・社会的にどのようにこの問題に対処しているのか、という部分も気になるところではあって。

総務省さんは、例えば「値下げを直接的な目標としない」等、かなりマイルドな発言をされていた印象ですが、個人的には、背後に思想がありそうにも思い。それに合致する社会的意義さえあれば、以前なら通らなかった話も通るのではないか、という気もしたりしなかったり。

そのあたり、真摯で誠実な IIJ さんよりも、どちからかというと、もっと "ストロングスタイル" な会社さんの方が得意分野のような気もしたりはするわけですが、何も分かっていない1ユーザーの僕としては、"価格はMNOの数割落ち、実効速度は混雑時でも半分~1/3くらいが良いなぁ" とは、勝手に理想の MVNO の形をぼんやりと夢見たりはするわけです。

MNO が MVNO 向け設備の中でいい感じにパケットを選別したり輻輳制御までやって…いや、なんでもありませんゲフンゲフン。

ということで、ここからは、イベントで出てきた情報を箇条書きで自分用にまとめておきます。

IIJmioに関する情報アップデート

先般発表された料金プラン「ギガプラン」に関する情報。

  • 旧プランの方が得になるケースもあるにはあるが、基本的には新プランの方が安い料金設計となっている。
  • (パケット料金、音声SIM料金などは劇的な値下げ発表をしたが)音声通話料金、通話準定額については(現状ではまだ)従来どおり。背景には、通話の卸料金に関して総務省の有識者会議で議論中という部分がある。音声料金のアップデートは、その結果が出てから。
  • (ギガプランに)長期利用者優遇が無いのは、総務省の方針を受けた形。2019年10月の電気通信事業法改正により、(長期利用者優遇には)厳しい制約が課せられている。
  • 新プランでスピードは速くなるのか?
    → 爆速になるわけではない。「遅くなりにくく」なっている。
    → 新プランでは混雑時のパケット破棄の優先度を変更。昼休みなどの混雑時、これまでより少量の通信が通りやすくなる。
  • 通信制限速度が200kbps → 300kbps へ増速。
  • 新プランへの移行時に同時にSIMタイプ変更はできない。

IIJmio 全体に関する情報。

  • LINE の年齢確認ができるようになった。
  • MVNO のシェアは10.1%(13.4%)。IIJmio のシェアはその内14.0%。

総務省の方のお話

総務省 総合通信基盤局 料金サービス課 企画官 大内さま

  • 国内の携帯市場は1.9億契約。家計に占める携帯電話通信料の割合は4.4%。10年間で約1.2倍に。
  • 適正な競争の結果を、消費者に分かりやすく、比較しやすくすることが重要。
  • 低廉化を直接の目標とはしていない。適切な競争の結果、低廉化する流れ。競争により、料金だけでなくサービス向上などの効果も。
  • 「ほけんの窓口」のような「スマホ乗り換え相談所」の導入を検討。
  • MNOがコスト価割れしていないかを検証する仕組みを考えている。現在、MNO各社はギリギリセーフ。
  • (ahamo などの)廉価プランに応じた形で、MVNO への接続料を引き下げるよう要望。
  • 音声卸料金の低廉化も進めたい。現在の料金は実態と乖離がある。日本通信の申請があり裁定。
  • スイッチング円滑化タスクフォースを設置。意見のとりまとめ中。
  • 5G SA 時代の新しい料金ルールづくり。事業者間接続などのルールづくりも重要。
  • 接続ではなく卸には規制が掛からない。MNOで接続メニューを作成。
  • 端末料金の低廉化に関しては、中古端末を含めた端末流通市場の活性化を進めていきたい。
  • 周波数が有効に利用されているかの検証の流れ。

ジャーナリストの意見

日経クロステック先端技術副編集長 堀越 功 様

  • 取材を進める中、(今回の携帯料金値下げの背景には)官邸による強力な圧力があった
  • MVNO の価格弾力性が低下している。
  • 携帯料金見直しをムーブメントにすることが大事。
  • 5G SA でサービスの多様化は進むか?

IIJmioの中の方の意見

  • (低廉化に伴い MVNOの価格弾力性が下がる中、次の競争軸として想定されるサービスの)「多様化」はまずニーズがあって、それに応える形であるのが理想。
  • MVNO への(新技術関連の枠組みづくりに関する)情報提供タイミングを MNO と合わせて欲しい。MVNO は後手に回っている。過去の LTE でも遅れていたし、5G SA でも情報提供が遅れている。
  • 5G SA でサービスの多様性は進むが、技術的にチャレンジングな部分がある。また、ルールづくりが重要。
  • MVNO 側から情報ニーズをコミュニケーションしてゆくことの重要性もある。

質問コーナー

Twitter で寄せられた一般の方からの質問への回答コーナー。(一部、回答のみ記載)

  • BIC SIM を契約すると、直接 IIJ と契約する形。BIC SIM は IIJmio そのもの。
    → BIC SIM でも新プランへの切り替えは可能
    → BIC SIM 独自の特典(長期特典)は継続
  • ナビダイヤルの通話料金の改定は無し。IIJmio 側で料金を決められない
  • IIJmio ひかりの割引は有
  • (値下げした)新プランでもネットワーク品質は「現状維持より良く」する
  • 5G 化しても 4G 利用時と混雑時の速度は変わらない
  • 「ギガプラン」は業界標準(の料金プラン)を目指したものか?→ 目指していない。
  • 新料金で赤字になるか?→ ならない。やっていける料金。総務省の頑張りもある
  • 既存プランはなくなるのか → そのまま残る。
  • eSIM の音声通話対応は?→ 恐らくは夏以降、MNO の音声通話 eSIM が出た後、MVNO はライトMVNOスキームで同じ仕組みを使うのではないか?まだ未定。
  • 名義変更対応は?→ 難易度高い。いつかはやりたい。
  • SIMタイプの変更、eSIM への変更は一旦解約が必要。
  • 音声1人5回線までの制約は継続。振込詐欺などへの対策として関連機関からの要請がある。
  • (IIJmioの)CM は YouTube で見られる。
  • SIM枚数が多い人は、MNO の格安プランより IIJmio の方が有利。
    MNO は1人前提。複数人でシェアするなら IIJmio の優位性がある。
  • 中古端末はウィルス・マルウェアが怖い
    → リユースモバイル・ジャパンのガイドラインとして端末初期化の基準が盛り込まれている。心配な方はリユースモバイル・ジャパン加盟店舗で買うのがオススメ。
  • MNO 販売のAndroid ではSIMロック解除問題だけでなく、接続バンド制限の話もある → 課題・議論が必要
  • みおふぉんダイヤルの自動プリフィックス対応は? → 総務省有識者会議の結論待ち。
  • 月中解約でも月額料金が日割りされない件はなんとかならないか → 消費者保護の観点から意見を伺いたい
    → IIJmio の解約は常に月末。MNP 時は転出日で解約。月初に規定のデータ量を使える環境を整備している。という解釈。ご理解を。
  • MVNO の接続料はなぜ帯域ベースなのか、容量ベースにできないのか。→ 帯域卸の方が MVNO の創意工夫を引き出せるのではないか。考えの変更には真摯に向き合う。(総務省)
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