色覚障害者の見え方をシミュレーションできるカメラアプリ「色のシミュレータ」
色覚障害者の見え方をシミュレーションできるカメラアプリ「色のシミュレータ」を紹介しておきます。
意外と多い色弱者
色覚障害(色弱、色盲、色覚異常)とは色の感じ方に関する目の特性のひとつ。ある色が見えない、または見えづらかったり、逆にある色が強調されて見えたり、また、全色盲といってグレースケールで知覚している状態も含まれます。
日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人が色弱者と言われており、国内の色弱者は300万人以上に登ります。
さて、この「色弱」ですが、一般型色覚、つまり、通常の色覚の人からすると、いったいどんな見え方をしているのかいまいちピンと来ません。
そこで便利なのが、スマホのカメラを通して色弱者の世界を再現できる「色のシミュレータ」というアプリ。
このアプリを使えば、「色弱者の友達には世界がどんな風に見えているのか」をシミュレートすることができるのです。
アプリのダウンロード
アプリのダウンロードはこちらから。
- 色のシミュレータ - Google Play(Android)
- 色のシミュレータ - App Store(iOS)
「色のシミュレータ」で色弱者の見え方を理解する
アプリの起動時は「一般型色覚」、つまり、通常の色覚の人の見え方となっています。
このアプリの機能を知るには、まず最初に、左下の「C」「P」「D」「T」のボタンを押して、以下のような4分割画面にするのがオススメです。
ひとくちに「色弱」と言っても、見えない色の種類によって色んなタイプがあります。このアプリではその内の3タイプ「P(1型2色覚)」「D(2型2色覚)」「T(3型2色覚)」をシミュレートすることができます。
例えば、一般型色覚の人にはこの箱の色はオレンジ色に見えますが、「1型2色覚」「2型2色覚」では枯れ草色に、「3型2色覚」ではマゼンタっぽい色として知覚されている事が分かります。
また、色覚異常は見える、見えないの「0」か「100」かではなく、ある色が「見えづらい」というケースもあります。このアプリでは下の目のアイコンから、このような「見えづらさ」を設定、シミュレートすることもできるのです。
例えば、上の例では57%に設定していますが、先と異なり、「1型2色覚」「2型2色覚」では明るい茶色に、「3型2色覚」ではほぼマゼンタとして知覚されていることが分かるわけです。
試しに手を写してみました。結構違いがありますねー。
1度くらいは見た事がありそうな色覚検査の画像。通常色覚の方がこのカメラを通して見ると大変面白いと思います。
また、右下のカメラアイコンから写真を撮ることも可能です。
実は長年、色弱者の方へ配慮をしてきた、という話
アプリの紹介は以上ですが、ここで少しだけ色覚異常にまつわる話を。
実は当サイト「TeraDas」やその前身となったサイトでは、長年、色弱者の方々に配慮した配色・デザインを採用してきた経緯があります。
当サイトの前身となるサイトのリリースは1996年。当時はまだウェブセーフカラーを意識する必要のある時代で、それと色覚障害への配慮、そしてデザイン性との並立は、なかなかに面倒だった記憶があります。
今ではお絵描きアプリにもカラーアクセシビリティへ配慮したツールが用意されている場合がありますし、また、今回紹介したアプリだけでなく、Android では色弱者の見え方をシミュレートできる機能が標準搭載されているなど、道具の幅は広がっている状況です。
僕は当時から、「色覚障害者へ配慮することは、色弱者でない一般の方の見やすさにも繋がる」との持論を持っています。昔は、そのような話を他で聞く機会はほとんどありませんでしたが、現在ではそのような考え方が広まり、嬉しく感じているところです。