伸縮自在!くるくる充電ケーブルの内部構造と修理
使いたい時は引っ張るだけ、仕舞う時はバネの力でスルスルっと小さくまとまってくれる、スマホの充電・データ通信に便利なくるくる充電ケーブル、またの名をリトラクタブルケーブル。
一時期は100均でも売られていたので、写真を見れば「あー、あれの事かー」と分かる人もいるかもしれません。
今回は、たまたま壊してしまったリトラクタブルケーブルを分解しながら、コレって自分で直せないの?とか、ずっと疑問だったその仕組みを解明していきたいと思います。
経験上、リトラクタブルケーブルは長くて安い製品ほど壊れやすい気がするので、個人的に丈夫と思う機種を愛用しているのですが、それでもやっぱり長く使うとたまには壊れる事もあるんですよねぇ…。
※2023/12/22 旧記事ですが、今でも役立つ内容なので、ベアリングボールの商品リンクを更新。uxcell はサイズが選べて便利。
今回の記事は、正直、完全に趣味の世界。です。
だって、この手のケーブルは100円~3000円前後だから、直すより買っちゃうのが普通ですもん。
ただ、リトラクタブルケーブルは仕組みが面白いのと、コツさえつかめば簡単に分解・組み付けできるよー、という事で、興味のある方向けに記事を書きました。
もちろん、分解すればメーカー保証は受けられなくなりますし、電源ケーブルとして使う場合は火災などの原因にもなりかねませんので、マネされる場合は自己責任の上で慎重にどうぞ。
症状:ケーブルがロックできなくなった…
リトラクタブルケーブルはケーブルを伸ばすと長いままロックされるのが普通なんですが、今回は、ロックされずに元の長さに戻ってしまう、という症状でした。
というわけで早速分解して、何が原因なのか、とか、
- どうして自分の好きな長さで都合良く止まってくれるのか?
- どうしてちょっと引っ張ると縮んでくれるのか?
といったあたりを見てみましょう。
※ ネジを締めるだけで直るケースもありました。
いざ、分解!
まずはネジを隠しているシールを剥がします。
「時計ドライバー」でネジを外して…
フタを開けると、中はこんな感じ。
※中には小さなスチールボールが入っているので、こぼさないように!
(下写真、渦巻き中央近くの)金属の玉は重要パーツなので保管しておきます。
今回はこの玉が無くなったせいでケーブルがロックできなくなっていました。
なんで抜けちゃったのかは分かりませんが、ここに直径 1.2mm ~ 1.4mm のスチールボールを入れてやれば直せそうです。(スチールボールの入手については後半で)
故障の原因は分かりましたが、仕組みを知るためにもっと分解してみましょう。
巻かれたケーブルを外し、渦巻き模様のホイールを外します。
※バネが暴れる事があるため、手を切らないよう注意!
すると内側にはバネが入っています。
このバネでケーブルを巻き取っているんですね。
最悪、巻き取り機構がバカになっても、ここまで分解すればケーブルだけは取り出せそうです。
組み立て方、と「リトラクタブル」機構の秘密
さて、分解はここまでにしておいて、ここからは組み付けながらその仕組みなどを見ていきましょう。
まずは、バネの飛び出た部分をフタの軸に喰わせて奥まで差し込みます。
こんな感じになりますので、この状態でホイールを巻いてやります。
一旦フタをして、手を離すとケーブルが巻き取られます。
フタを外し、さきほどのスチールボールを用意します。
フタ(右上)の溝に合うよう、スチールボールをホイールの渦に置きます。
このホイールとフタの溝の組み合わせ+スチールボールの動きにより(引っ張りに対しては無制限、戻る時だけ引っかかる。という)リトラクタブルケーブル特有の動きが実現されているわけです。
秘密を拝んだ後はフタをしてネジ止めして…
シールを貼り直して完成。です。
ホイールの「溝の切り方」がポイントなのね
こうして見ると、結局、リトラクタブルケーブルはホイールの溝の切り方がポイントの様子。
別製品のホイールを見ても分かるんですが、正方向には回りやすいけど、逆方向だと引っかかりがある。そして、引っかかっても少し正方向に回してやれば、また逆方向にスムーズに回る、という絶妙な溝の切り方なんですね。
コレ、最初に考えた人、頭いいなぁ……。
ちなみにバネまで分解するとこんな感じでした。
感想
バネがバカになって壊れるケースが多いのかなぁ?と勝手に思っていたリトラクタブルケーブルですが、見た感じ、多分、故障の3大原因は「ケーブル断線・スチールボール喪失・プラスチック部品割れ」なんじゃないの?という感じ。
負荷がかかる部分を金属にすれば、もっと長寿命になるんじゃ?…とも思うんですが、扱いが悪いとケーブルが真っ先に切れそうなので、まぁ、全体の寿命を考えればバランスのいい部品構成になっているのかもしれません。
何にしても、ケーブルを無理に引っ張ったりするのは厳禁、という感じの作りに見えました。
今回は「スチールボールの紛失」だったので自力で修理できましたが、プラスチック部品が割れている場合は共喰い整備(部品取り)でもしない限り修理困難でしょう。
スチールボールの入手について
スチールボールの径の測定と入手は面倒かもしれません。
私が愛用しているケーブルのスチールボールは(推定)直径1.2mm ~1.4mm くらいに見えます。が、正確に計測したわけではないので、規格などをご存知の方がいれば情報をお寄せいただきたいと思います。
1玉だけ買うなら100円ショップでリトラクタブルケーブルを買って、スチールボールを取り出す。というのが一番安上がりかなぁ。と。今回もこの方法で調達しましたが、ただ、機種によって違いがあるでしょうから、合う合わない。のリスクがありそうな気はします。
あと、結構調べたんですが、小口調達なら Amazon が量・値段ともに、ちょうどいい感じかなぁ。と。
他も当たってはみたんですが、量が kg 単位だったりとかで、どれもピンとこなかったんですよねぇ…。
注意
スマホの充電ケーブルと侮ってはいけません。電気を扱う機器は無理な力が掛かったりすると火災などの原因にもなりかねないため、作業には十分に注意を払い、自己責任にてお願いします。
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