インネパ、というより純ネパ。居酒屋風ネパール料理店「コイラ(Koila)」で正統派ダルバート?カナ?を食べてきた話
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えーと、例によって余程でない限り近場の飲食店のことは書かないようにしているわけですが、田舎にしては珍しい本格ネパール料理が食べられるお店を発見したので紹介しておきます。
愛知県一宮市の「ナンカレー&炭火焼亭 コイラ(Koila) 西一宮店」です。
「あー、ネパール料理って、あのテンプレ系のカレーとナンの店ね」
と思われそうですが、こちらのお店、まぁ多分そういった使い方もできなくはないものの、頼み方次第ではインドっ気のない純なネパール料理が食べられる貴重なお店。
最近流行りの「インネパ飲み」ならぬ「純ネパ飲み」ができる居酒屋であり、本格エスニック料理が好きな付近住民らは寄ってたかるべきお店ということで、紹介しておきます。
たまたまキャンプ帰りに通りががったところ、助手席がギャーギャー騒ぐので、何事かと思って見てみたら、さっそくこんな看板が。
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「ナンカレー&炭火焼亭」というパワーワードが彼女のアンテナに引っかかった様子。なるほど、これは騒ぐのも無理はない。
気になって店名を調べてみるも、新規オープン直後だからか Google マップでも出たり出なかったりと、存在自体が怪しい雰囲気。
結局、よく分からないから食べに来ることに。オープン日は2023年4月24日だそう。
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営業時間は「11:00~11:00」。多分、(お昼の)~(夜の)が省略されてる。突っ込んだら負け。
ハッピーアワーが長すぎ&安すぎ問題。1,000円でなんとドリンク3杯+おつまみ1品、しかも15~19時ときた。
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というかそもそもビール単品からして安い。一番搾りが今どき税込400円。(価格は2023年5月時点)
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まぁ、メニューの写真がグラスビールですものねー、と思いオーダーしてみたところ、なんとジョッキで来た。最近は1杯600円より安い店をほとんど見かけなくなった中、頑張りすぎなのでは?
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さてメニューを見ると、いわゆる「インネパ」系にありがちな「ナン+カレー」のセットも用意されているわけですが、
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ここはやはり、「そんなのは違う!」ということで、
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さっそく、羊肉の内臓料理であるところの「ブトン」と、
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スパイシーな煎り大豆の冷製和え物っぽい「バタマスサデコ」、
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そして、辛いほうの「モモ」をオーダー。
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「モモ」は小籠包のような料理ですな。
とりあえず、無限にビールが飲める「ブトン」がやばい。羊のホルモンだからなのか、一般的なホルモン料理のようなしつこい脂っこさが少なく、かなりスパイシー。添えられた黄土色のソース(山椒テイストだったのでティムルコアチャール?)が激旨で、例えるなら液体版「やみつきスパイス」。なお、辛いものが苦手な方は要注意。
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お店の方によると、羊肉のスパイス和え「スクティ」もオススメらしい。
そして、豆を大量摂取できる「バタマスサデコ」もなかなかのおツマミ。こちらもピリ辛。やみつき豆です。
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さて、問題はここから。大サービスで盛りが良くお腹の空きは少ないものの、生中を3杯もイってしまったからには、やはり何か〆を食べたい。
ということで迷いはしたものの、こちらの南インド料理でいうところのミールスっぽい「ネパールカナセット」をオーダー。
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これが最高にウマくてですね。
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まずはダルバートということで、ダル(豆)のスープカレーが必ず付いてきます。ご飯はバスマティとインディカ米のハーフ&ハーフ。形を整えるために敢えて混ぜている、とのこと。
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選べるカレーはマトンをチョイス。アチャール(ネパール漬物)も付いてきました。アチャールは漬けが浅め。フレッシュ感があり面白い。
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この日のタルカリはタケノコ、サグはパルンゴ(ほうれん草)でした。
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パパドを割ってまぶしたら、定番の混ぜ食べ。これが凄くウマい!
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このときは〆ということで小皿に取りわけて食べましたが、ぜひ、プレートで混ぜ食べして欲しい出来栄え。
カナセットはお好みでブトン(羊の内臓の炒めもの)やスクティ(羊の干し肉を細かくしてスパイスで和えたもの)を混ぜ食べしても、現地流で美味しくなります。
南インド料理好きな妻からは常々「北方に位置するネパールの料理は油がこってり効いている」と聞かされていましたが、別のインド在住日本人からは意外にも北方は塩カレー文化とも聞いており、この店は完全に後者寄り。意外とそこまでクドくないし、清々しい辛さだと感じました。
あまりに良かったので、恐らくはネパール出身と思われるフロアの方に長々と色々尋ねたところ、次のメニューはネパールの味そのままで提供しているとのこと。
- ブトン
- バタマスサデコ
- スクティ
- サモサチャト
- クミンバターポテト
- モモ(辛くないほう)
- チャウミン
- ネパールカナセット
中でも、「ネパールカナセット」は本当に美味しいので、ぜひ、エスニック好きには食べてみて頂きたいメニューです。〆がダルバートとか、面白い飲み会になりそうじゃない?
オープン間もないのにもう2回も通ったのですが、たいてい日本語が流暢な方がおられる印象。質問の引き出しがある方なら、きっと面白い話が聞けることでしょう。
聞けばこちらのお店、もともとは愛知県名古屋市の栄生あたりから移転オープンしたのだそう。名古屋市内にもまだ系列店が残っているそうなので、お近くの方は探してみても良いかも。
正直、かなり攻めた価格設定のため、世間の相場を考えると値上げしてもおかしくない予感。価格改定があってもくれぐれも責めないよう。
インド・ネパールではナンよりチャパティを食べると聞きますが、よくあるインネパ系みたく日本人向けのナンカレーも食べられますし、また、普通の居酒屋っぽい使い方もできそう。メニューの一部だけ本格ネパール料理を取り入れる、なんて組み立ても楽しめそうです。
地方ではなかなか受け入れられ難い現地料理ではありますが、最近ではそんな空気も変わってきた感があります。
以前、レビューを書いた「パンジャーブ」というボコボコの事故車がギュウギュウに停められているパキスタン料理店も、
こうして記事にしたせいか、市外からお客さんがパラパラと来るきっかけとなったようなので、今回のお店もそんな感じで長続きすると良いなぁ、と思っています。
少なくとも、僕らはしばらく通うだろうな。。。
ナンカレー&炭火焼亭コイラ
〒491-0907 愛知県一宮市西出町53−2