LTE化で下がるビット当たりコストは消費者に還元されているか?
今回はあえて本当の事を書いてしまうので、もし、下心があるキャリアさんが見たら、かなり嫌な内容だろうなぁ。というお話。
ドコモ・au・ソフトバンク。3大キャリアのスマホ向け LTE パケット定額サービスの中身が見えてきたところで、LTE 化により値上げされるパケット定額料が何のためのお金なのかを忘れてない?という割と根本の部分について考えてみましょう。
お金を払う。という事は、それが何のためのお金なのかを認識するのが大事と思うんですよねー。
※この記事は、状況の変化に応じて更新する場合があります。また、後日読みなおして気に入らない部分があれば書き換える可能性があります。
スマホの通信量はテザリング有無で大きく変わる
通信量を意識している方ならご存知と思いますが、スマホのデータ通信量はテザリングを使うかどうかで、大きく変わります。
例外はありますし、iOS・Android の違いや自宅の Wi-Fi 有無、YouTube などの動画利用頻度でも変わるんですが、スマホでの月間データ通信量は、多くの場合、次の数字に収まっていると思います。
- テザリングを使わない人 → 月間 2 GB 以内
- たまにテザリングを使う人 → 月間 4 GB 以内
動画もテザリングも使わなければ、月間データ通信量が 1GB以下、なんて事も珍しくないでしょう。
スマホ単体利用なら月間7GBあれば十分
つまり、最近話題になっている LTE パケット定額サービスの「月間7GB規制」ってのは、テザリングを使わない人にはかなり緩いラインなわけです。
それどころか、ドコモの「Xiパケ・ホーダイ ライト」の月間3GB規制ですらライトユーザーにはかなり余裕で、だからこのプランの発表時に「実質的な値下げ」と報じられたりもしたわけです。
こういった事から、私は日常的に長時間テザリングするヘビーユーザでなければ、7GB 規制を意識する事はほとんど無い、と考えています。
7GB規制は「無秩序なテザリング利用」抑止に効果
じゃあ、「7GB規制」ってどんな時に問題になるの?という話ですが、私が思いつく範囲だと、例えば次のようなわりと限られたシチュエーションになると思います。
- 月に10日くらい、長時間 PC をテザリングする
- ギガバイト単位のデータ送受信をする(DVDISOなど)
- 自前エンコード動画など、極端に高画質な動画を見る
- スマホ向け高画質動画を毎日見る
今どきのスマホはパワフルとは言え、ギガバイト単位のスマホ向けコンテンツなんてのは普通ないので、テザリング無しで月間7GB使おうと思うと、正直、かなり大変と思うんですね。
逆に言えば、PC を長時間テザリングしたり、重い通信をすれば、割と簡単に7GB使い切ってしまう事が出来るわけです。
キャリアの「7GB規制」の背景には、こういう重い通信を日常的に流して欲しくない。という部分がありまして、誤解を恐れずに言えば、「たまに公式テザリングするのはいいけど、毎日 PC をつなぎっぱなしにするのは止めてねー」という感じではあったりするわけです。
テザリング無き「容量無制限」に意味はほとんど無い
スマホ単体なら月間1~数GBしか使わないのが普通なのに、テザリング無しで月間通信量が無制限と謳っちゃうソフトバンクの iPhone 5 向け「4G LTE 定額プログラム」は営業的に非常に良く考えられた、でもまぁ消費者目線からすると割とえげつなくも取れるプログラムだなぁ。と、発表された時は変な意味で感心しました。
※ソフトバンク「4G LTE 定額プログラム」の「容量無制限」は、公式サイトの表記が何度か変更されており、最終的にどうなるかは要注意です。
というのはコレ、実運用上、テザリング抜きで月間7GB以上使う人なんてどれだけいるんだよ。という意味でかなり懐疑的な売り文句と思うんですね。
「利用量に上限が無い」と心理的に楽。という意見もあるかもしれませんが、月間7GBなんて普通に使ってたら届かないわけで。
そういう事もありまして、別記事「携帯各社のスマホ向け通信速度規制と1GB当たり料金まとめ」も、各キャリアのスマホ向け LTE パケホプランの詳細が出揃い次第、暇を見て更新する予定ですが、その際は、スマホでの通常使用量を著しく超える通信が可能と謳いながら公式テザリングを許可しない等、利用制限が厳しい LTE パケホプランは公平を期すため例外扱いするよう検討しています。
消費者視点的には「ソフトバンクの iPhone 5 はテザリングできないけど、7GB の規制が無いから他社では出来ないこんな使い方してもOKなんだよー」という部分が見えてこれば、考えなおす余地もあるかもなー、とは思うんですが。
当サイトは、公開済み情報でも現状にそぐわないものは可能な範囲で更新していますので、ぜひ、この部分についてはソフトバンクさんには改善いただき、このあたりの文言が丸ごとキレイになるよう頑張っていただきたい。とは思います。
ちなみに、ソフトバンクさんの内情も知らないわけではなく、LTE 移行のスケジュールとか技術的な制約とか iPhone 依存の構造とか 3G ネットワークの容量とかとかとかで、今はまだテザリングを許容できないんだろうなぁ。という事とかとか位は一応分かってはいるつもりです。
中間まとめ
ここまでをざっくりまとめると、こんな感じ。
- スマホ単体の通信量は少なければ月間1GB以内。結構使う人でもだいたい月間数GBくらい(テザリング無しなら)
- 7GBの制限は、無秩序なテザリングの抑止効果がある
- LTE のパケット使用量が無制限でも、テザリングが許可されていないならスマホユーザのメリットはかなり薄い
LTE化で下がるビット当たりコストは消費者に還元されているか?
長くなりましたが、ここからがこの記事の本題です。
ドコモ・au・ソフトバンクの3大キャリアは、スマホ向け LTE パケット定額サービスの正規料金を 3G 時代より高く設定しています。
そして、性能面で言えば 3G→LTE へ移行するメリットは、ざっくり言えば「速さ」と「大容量」です。
ここで私が指摘したいのは、値上げは結構なんだけど、LTE の性能面のメリットを、各キャリアはちゃんと消費者に分配してくれるのか?という部分です。
まぁ「速さ」の面は問題ないと思うんですが、実は「大容量」という部分のユーザ還元にはキャリア毎の差が結構あるよなぁ。というのが正直な感想でして。
具体的には、ソフトバンクの iPhone ユーザーが iPhone 5 にしたからと言って劇的に通信量が増えるわけではないのに、3G 時代より高価な LTE 向けパケット定額サービスの料金がかかる。という点をどう捉えるのか。というお話。
冒頭にも説明しましたが、テザリング無しのスマホでは現状、ある一定以上の量になると通信量のメリットを得にくい訳ですから、LTE 化で高くなった金額って「速さ」だけに払ってて、容量面のメリットって話しになるとソフトバンクさんは他社ほどユーザーに還元してないよねー。という解釈もできるよね。という話になるわけです。
人によって使い方や通信量が違うので、記事のタイトルがこの内容なのに数字とか出してなくて申し訳ないんですが、記事を書く側からするとそういう数字が出しづらい、いやらしい巧妙なところにこういうタネを置いてあるところが、あの会社が儲かる秘…おっと、口が過ぎました。
LTEの値上げ分の価値をそのキャリアに見いだせるか?
3G → LTE で上がるパケット定額料と、その料金の意味。というお話でしたが、いかがだったでしょう。
LTE 化で高くなる理由として「速さ」だけを取るのか、それとも「速さ」と「大容量」の両方を取るのか。
テザリングが不要と言い切れる人には全く関係のない話ですが、イザという時用にモバイルルータを契約するタイプの人は、公式テザリングができる iPhone で、LTE化のメリットを味わってみてもいいかもしれません。
スマホと別にモバイルルータを充電したり持ち歩くのって割と面倒ですし。
ちなみに公式テザリングできる機種だからって、いつも使うものでも無いんですけどね。でも、あると便利なのは確かと思いますよ。
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